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桜蛇お嬢は自由奔放、無手勝流!@Real ⇒ Fantasy Adventurers  作者: 酒色南肴
4 This Play within That Play within Our Play.
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73.憂さを晴らしに山へ海へ

 料亭歓談はつつがなく終了。

 もともとウナギを食べたかっただけだしな。アラアマという運営コンビとご一緒したとは言え、奴らがRFA情報を漏洩(ネタバレ)するはずもなく。リアル情報を更新して終了、といったところか。


 アラアマの手拍子ひとつでRFAに戻り、泥黎三瞳神の三人とはそこで解散。


「本日の収穫:星虹樹海は☆5カンストなら、激レア素材が出現する手前までは、比較的簡単にイケる。どれだけかというと、二人(融合)PTでもOKなくらい」


 なし崩しの中断で途切れた感のある星虹樹海(ダンジョン)攻略について、今回得た感触を簡単にまとめ、ライハに報告(メール)しておく。


「なお以降の階については、味方全体にステータス大幅アップ・HP/MPプール/秒毎一割回復、の選別聖域ですらギリになるらしい、と」


 補足ありがとうヒュー。


 他の種族の☆5性能がどうなるのかは、わからないけど。

 選別聖域ほどのチート(時間制限はあるが)でギリってどういう難易度なのかと。

 フルパテならまた違うんだろうか…なんとなく、専門role☆5カンストでガン首揃えたバランス重視フルパテであっても、星虹樹海ラスフロ初踏破は、幾人も犠牲にした上での単体到達になりそうな予感。屍を超えて行け的な。


「逆説、それくらいの難易度でこそエンドコンテンツ感?」


「各パテメンの順繰り踏破に、激レア素材回収。最初の洞窟の、初踏破に限らないクリア毎の報酬みたいなものがあれば、さらに周回要素が満たされるな」


「素材だけでも、激レアというくらいだから周回必須よね。しかも強力装備の材料にもなるんだろうから、クリアするほど周回難易度が目に見えて下がるわけで。そこのターン入ったらめちゃくちゃ楽しいだろうな~」


 しかしそうやってさらに強化を重ねた先に、トップ層(彼ら)は何を目指すのだろうか。それは運営だけが知っている。


「リアル悪霊退治だろ」

「それもあるでしょーけども」


 悪霊退治については、自覚なく遂行するプレイヤーがほとんどになると思うの。運営の裏の目的ではなく、『ゲーム』として表からわかる深度のことを言ってるの。


 現在の一般プレイヤーの成長速度から考えて、トップ層が星虹樹海に到達する頃には、創造魔法の使い手ももう少し増えているだろうから…何か画期的な魔法や道具が開発されていて、今より行き易くなってるかもだ。そしてプレイヤーの成長に対抗して、運営側も更なるエンドコンテンツを用意している、かもしれん。


「いたちごっこ」

「まわしぐるま」


 イタチもハムスターも可愛いからヨシ。


「ん~もうちょっと強めの敵に行く?」

「ここのレベリング会場はすっかり初心者向けだな」


 大陸最南の国マジスオールの首都近郊のレベリング会場。一応はこの会場の中でも高レベル帯に来てるんだよ。でも、ここも適正レベルはせいぜい☆2くらい。


 その中でも、空中にいて地上からは攻撃し辛いワイバーン的なのとか、体力がバカ高い上に、近距離はなにもしなくとも熱波でHPが削られて倒し難い溶岩の塊なんかが出る、人がほとんどいない山頂の区域に来ている。経験値のわりに手間がかかるから敬遠されてるのよ。


 空中にいるってことは弓の的当てにいいし、体力バカ高いってことは殴り放題サンドバッグにできるのにね~。


「屋外だから、アトモスフィアヒールとHPヒール系があればHP減少もあんまし関係ないし」

「だからって溶岩を素手で殴るな」


 なんだろう、レベル差のおかげかな、素手凹しでもHPの減りは少ない。溶岩の環境ダメージと殴って返ってくる炎ダメージものんびりヒールで充分間に合う。

 とりあえず、うじゃっといた好戦溶岩ズの最後のひとつをバゴッと砕く。


「お。兄貴から返信」


 こっちにも来た。お互いのものを見比べると同じような文言。というか、どっちかに書いてコピーして、ところどころ変えた感。マメだな。


「空気泡…じゃなくて潜水泡か、できたんだ」

「やっと成功作ができたんだな」


 ということらしい。

 曰く、試作はまだ人一人を囲むくらいのものだが、理論上は船まるごとでもイケるとのこと。マグロ社長たちの出番だな!


「これから海神殿に向かえるプレイヤーを募集するって」

「はいはい!! わたし応募します!!」


「兄貴から、わざわざおれのメールに、おれたちへの伝言だ。『二人とも実験体になりに来るでしょ?』」

「実験体という響きはイヤですが、現状行かない選択肢はないよね!」


 手応えが足りなくて、別の狩り場を探そうとしていたところに飛び込んで来た、新狩り場であるし。


「あれ。もう一つメールが来てる」

 ぴこんと着信したそれを見る。


『言い忘れてたけど。さっき料亭で着てた服は、それぞれの部屋に送ったからね』

『あれはRFAのアバターでもあるからな、収納袋(インベントリ)にも入れておいた』


 アラアマからでした。


 マジかラッキー。服装の説明してなかったけど、あの時のわたしの服、ほんのり個性的な柄と切り返しデザインの、可愛いけど凝った作りのワンピースで何気に気に入ってたのよね。あ、各人の好みに合わせてたんだっけ。

 ほんとだ、収納されてる。わーい。


「揃いの帽子と靴もちゃんと入ってる♪」

 さっそく外見(アバター)にセットしてみる。うん、かわいい。


「…それで行くなよ?」

「海に? 涼しげなワンピースでいいかなと思ったんだけど」


 寄せて返す波打ち際を、脱いだ靴を片手に歩くとか絵になりそうよ?


「これから行くのは、海は海でも海の中だろうが」

「海の中を散歩でもよくない?」

「浮力は?」

「あ」


 潜水泡の仕組みがわからないことには、どうなるのか予想がつかないことだけども。泡の中に空気を溜めるのなら…浮くか。浮くかもしれないか。


「中は、さすがに、謎の海苔(ゲーム的処理)で見えないはずだけど」

「めくれ上がって謎の黒四角が見えるところを想像しろ」


 ひらひらのスカートの下に黒い四角、そしてそこから素足が。

 見えないからこそ想像を煽る、あるある。うん、アウト。


 ヒューと二人きりならともかく、他人もいるところじゃダメだね~。

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