21.七つの先に八つの暗示
七つの実に夢混じりて七つ種
八つの孤独に寄り添う不思議の中に立つ
無の中に有
有の中に無
有の中に有
見いだして顕現す
「…かな?」
「なんとなくわかりそうでわからない詞になってるような?」
ライハお求めの『創造』の方の魔法。RFAにおけるその存在を認知するに至った、β版で発見した碑文。の、うろ覚え繋ぎ合わせ詞である。
「よくこれだけ覚えてたね?」
一度見ただけだったんだよね?
「その一度の時に、一応時間をかけて眺めたんだ。時間が経つほど印象の方が大きくなるから、一言一句は違うだろうし、不足部分もあるだろうね。そのせいで意味が大きく異なってしまっている可能性は否めないかな」
とりあえず七つと言ってるからには、七島が絡むのは間違いなさそう。だからシークレットダンジョンを気にしてたのね。
「想像が創造になるを有無で指すと?」
「顕現が実現ということですか」
「七つの実、つーと特産だよな」
「寄り添うってぇ、ダヴァスの恋人国政策ぅ?」
後付けで整合性を取っている可能性もあるが…辻褄は合う、かな?
「この中だと、『八つ』が一番の謎かな? 数字として」
八つでセットな存在。いまのところ目立って八つなものがない。
「八。偶数。四の二倍、十六の半分…わからん」
「境界ダンジョンにヤツメウナギ(モブ魔物)ならいたよ」
ヒューと二人で頭を捻る。まあライハのことだから、いろいろ検索してるだろう、そこも。
「今までの話をまとめるとぉ、ダヴァス国でやるべきことはぁ、劇背景や幻投影の観賞ってこと、だよねぇ?」
想像魔法が欲しい→種族に幻属性を追加したい→幻魔法を浴びるのが手っ取り早い(推定)→想像魔法を観よう!
「うん、観劇、しよう!」
もしくはデートスポットでそれぞれデート、も可ですかね。
デートスポットの彩りとして、様々に凝ったプロジェクションマッピング演出が咲き乱れているわけですから。
「分かれるなら、わたしとヒュー、ライハとリカム、蛍さんとニコ氏だね」
期せずしてカップリング×3。いやライハのことだから、これを見越して組んだのか?
どこに行こうかな~前(陰陽姫の仮の姿である氷桜の時)に街ぶらしたけど、あの時はヒューと一心同体(物理)だったからね。今回は思う存分いちゃつき見せつけべたべたできる!
海竜イベントを経て、元ネアダ三帝国の通行自由化が成ったおかげか、以前に観光パスで回った時よりさらに賑わっている恋人街。
ネムペルスやアーハイリーも以前より賑やかになっていたが、さらに顕著なのがダヴァスなのよ。一つの試験都市だけでは観光客の受け入れおよびサービス提供に難が出そうということで、近隣の街の観光地化も積極的に押し広げている様子。
今後は最初の一都市にオールマイティーな案内所としての役割を持たせ、それぞれ特色を活かしたデート街をどんどん増やし、細分化していく予定らしい。ダヴァス入国管理局にあった、最新のパンフに書いてあったよ。
例えばあそこの街は初々しい付き合い始めカップルに特化、別のあの街はソロ様たちの出会いの場、さらにあっちの街はハーレム・逆ハーレムに配慮したデートスポット多数、などなど。
なお初心者カップル向けは、倦怠期カップルにも評判がいいようです。あの頃の恋心を呼び戻せるとかなんとか。
「あ、歓楽国のリビードほどじゃないけど、R18ゾーンもあるよココ」
各街の中に、それぞれ向けのR18スポットも併設、みたいな。
「それは、しません」
「オレぇ抜け駆けはしない主義なんだよねぇ~」
ジン氏がいない小白川組は、友情以上恋人未満のほのぼのデートに甘んじるようだ。ジン氏がいても、現状では逆ハーほのぼのデートで終わりそうではあるが。
「『リビードほどじゃないけど』かぁ。シュシュは何を知ってるのかな?」
パ、パンフよ。パンフで見ただけよ。ロリ氷桜のままおソロ様用を覗きに行ったとか、そんなことないわよ。体験する前に、さすがに見た目年齢がヤバすぎると断られたし。
「パンフレットでダヴァスの知識を得ているとしても、リビードと比べることができるということは、リビードにて体験を」
黙秘しまーす☆
「へっ兄貴たちだってリビードでmg」
「ふふふ。そうだね、俺の愛する弟たちも自分で考えて動く年齢になったんだね、あまり干渉しちゃいけないよね」
「ははは、そうだな! 決して私と時悠はうっかりリビードにハマったことなどない!!」
ヒューの密告を物理で塞ぐ義兄(予定)。そして自爆する義姉(予定)。
「リカムさん、ライハ様のお名前を出してしまっています」
動揺しすぎなんよ。
まあ、一時期彼らがリビードに入り浸ってたことは、情報班双子から聴収済みだからさ。
リビードはシーデウスとも近いからね。お気に入りの監獄温泉国で諸々計略仕込んでから、リビードにシケ込む流れだったのよね~知ってる知ってる。言わないけど。
「ダブルならぬトリプルデートする?」
「というか、そのつもりだよ。すでにダヴァスを経験しているシュシュたちはともかく、俺や蛍嬢たちは同じものを観た方が検証しやすいでしょう」
なるほど、そうか。というかライハもダヴァスは未経験だったのか。
「その際に、二人一組に見えるようにとは配慮したけど」
ならばわたしとヒューは除いても。いや、ライハリカム蛍さんニコ氏の組み合わせ、たぶん会話弾まないな。わたしたちは緩衝地帯か。
「ていうかぁその組み合わせぇ…オレが過労死する」
気遣い屋がニコ氏しかいない件。
「ちなみにジン氏は今何してるの? 仕事?」
「サイガ君に引き取ってもらってるよ」
手回し済みだった。
「ジン君とシュシュのクラスアップ候補から、闇と幻属性に親和性がある説が浮かぶからねぇ」
闇はないが種族に木属性はあるのがリカムと蛍さん。そして光属性のニコ氏、属性ナシのライハ。今回はその辺りを比べたいということなのね。
※冒頭のβ碑文は表記がぽろぽろ抜けてたり違う補完されたりで、完全体ではないです。




