表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
桜蛇お嬢は自由奔放、無手勝流!@Real ⇒ Fantasy Adventurers  作者: 酒色南肴
4 This Play within That Play within Our Play.
315/423

4.休日の共同作業

『次にRFAにinするのは、こっちが連絡してからで』


 ひらり部屋の中を舞った紙切れ。

 RFA天国でのオリジナル観賞会と比悠救出作戦の相談を終え、適当にレベリングなぞして深夜前にログアウト、そしてリアルに戻った途端に、目の前に現れた。


「試しにログインし直そうとしたら、エラー出たわ」

「そこで試しに反抗するなよ」


 ソファに並んで座って、ホットチョコを飲む。わたしのはマシュマロ入り、比悠のはスパイス入り。一口もらってどっちもウマー。


「兄貴は同じ文言と共に、強制ログアウトくらったってさ。カナさんはログインできるらしい」

「時悠がいなくて、カナさんにRFAやる意味はあるのかしら」

「ーっと。カナさんにNPCたちへの指示の伝言を頼んで、…カナさん、今はRFAチーズ工房の見学ツアーに行ってる、て」


 カナさんからチーズという彼女独自の必須栄養素を落としてはいけなかったな。疑ってすまんかった。


 メールでやり取り兄弟から、お互いの状況を把握。

 カナさんに何の制限もかからないのは、どうも『来栖叶都が時悠と恋人の世界線』はココが初であるから、らしい。


「壱玲に加えてカナさんまで初、か」

「壱玲という、完全新規要素がどっかで作用してんじゃねぇか、て言ってたな」


 つーかココが奴らにとっては最新の実験場なのね。

「上手くいってるから、新規開拓するよりこっちに注力してんだろうな」

 そやね。


 そんな尽力中の黒幕組(アラアマ)のおかげで、一時的とはいえ自由にRFA(ゲーム)できないことに。


「まあどうせ、この時間じゃ寝るだけですけど」

「寝るだけなのか?」

「結果的には寝ますね、経緯は問わない」

「どんな経緯をお望みだ?」

「わかってるくせにぃ」


 寝室行っていちゃらぶ就寝。明日は明日の風が吹く。


 というわけで、ちょいと強めの風で目覚めた翌朝です。お互いツヤっとスッキリ。RFAはまだログインできなかったので、休日だしと比悠が持ってた新作ギャルゲーを一緒に楽しむなぞする。


「ギャルゲの女の子って、なんていうか、イエスマン好きよね」

「乙女ゲーでも同じじゃね?」

「いや、あっちは立ててあげる必要が…同じことか」


 どっちもあんまりやったことないから、浅い知識だけの感想です。

 まあ肯定されたいという欲求に、性別とか関係ないか。道程が多少違うだけで。


「このコめっちゃ可愛いんだけど」

「それ、双子の弟の方」

「マジか」

「よく見てると、会話の癖とかで姉との区別がつく」

 さすがギャルゲーマー比悠。


 昼になり外食か出前かで意見が割れたので、間を取って一緒にご飯を作ることに。

 メニューは冷蔵庫にあったものを具材として、ピザに。ピザ生地はなかったので、物質転送で最速購入。もちもちもサクサクも好きだから両方。


「ところで比悠」

 ゆで卵を流水にさらしながら。

「ん」

 トマトソースを煮詰める手から目を離す比悠。


「本気で比悠ハーレムになったらどうする? わたしが、どう比悠を区別したら、比悠だけがわたしの比悠だと納得できる?」


 冷静に考えると。わたしから比悠への愛が分散される恐れがある。そこをスルーして可哀想問題を解決と考えてしまってはいけない。


「別のゆいたちも引っ張ってくんだろ?」

「後はお若い三人で、で放置できるってんなら、それで解決だけども」


 どういう形態になるか、不透明じゃん?

 特に、比悠と時悠が不仲で、間に入るゆいちゃんの図とか。場合によったら、こっちの介入が不可避かもしれん。


「おれもそっくり同じ質問を返せるんだが。ゆいハーレムになったらどうするよ」


 ゆで卵が冷えるのを待つ間にと、ピーマンを刻む。手にした包丁をすっと上げて。


「そいつら放っておいて、わたしを見なさい」

「キッパリ返しやがった」


 比悠がトマトソースの粘度を確認して火を止める。そして常温に戻し中の鶏ももの温度を触れて確かめている。


「比悠も同じってことでいい?」

「あー…ん、まあ、そりゃ、な」


 照り焼き用の調味料を用意するそぶりで目を反らしているが、肯定ってことだよね。比悠かわいい好き。隙あらば惚気語り、略して隙惚語。


「もし。わたしじゃないわたしが、わたしの比悠に寄って行ったら…この包丁の錆にしてやるから、気を付けておいてね」


「あっち肉体なくね?」

「そこじゃなーい!」


 たとえ! 不幸な身の上のわたしだとしても、比悠(アナタ)は譲りませんからっっっていう意志の表明!!


「徹底抗戦の構えです」

「仮想敵が自分つーのは、おれも同じだっての」


 ぶっきらぼうに言い捨て、コーン缶をぷしっと開けている。


「コーン乗せるの?」

「コンポタ。…好きだろ」


 好きだが。


「んふふ。それじゃ玉ねぎも刻むね~」

「ピザにも乗せたいよな、多めに頼む」

 らじゃー。


 刻んだ玉ねぎの半量を鍋に入れて渡すと、開けたコーンと一緒にバターで炒めてくれる。水や調味料を入れる手つきを眺め、頃合いを見てハンドブレンダーを手渡し、どろどろに潰してもらう。

 その間にこっちは鶏の照り焼きを仕上げて。

 そして一緒にピザに具材を乗せる。あとは予熱したオーブンで焼く、と。


「薄生地サクサク照り焼きピザともちもち生地でトマトソースにベーコンピーマンキノコ他色々乗っけピザ~そしてコーンポタージュ!」

「ん。旨い」


 照り焼きに刻み海苔欲しいな、転送注文、よしゲット。


「早くビールを飲める年齢になりたいです」

「炭酸水で我慢しろ」


 宥めながらグラスに炭酸を注いでくれる比悠ありがとう好き。


「そうね。わたしと比悠の間に亀裂の影が見えたら、ちゃんと指摘し合おう。そんで、らぶいちゃしてラブラブに戻ろう!」

「おう。遠慮なく言うぞ」


「本当に遠慮なく言ってね?」

 わたしが抜けてて気づかないとか、普通にあり得るからさ。


 などと確認し合って、そして夕方。


「悪いな、時間かかっちまったわ」

「生身からRFAへの変換とか、新システム構築させられたよー」


 なんやて?


「一定数、元の世界に未練ない比悠(ヤツ)がいてな」

「後々の処理を考えたら、まるっと持ってきた方が楽だなって」


 その辺はよくわからないから、アラアマの判断に任せますけど。


「えっと、比悠ハーレム計画発動?」

 生身ってことは、複数比悠の乱立?


「いや、それは無理だから。つか無謀だから」

「RFA内アバターに、全員統合したよ」


 だからログインを停止してもらってた、と言われたわけだが。


「どういう、ことになったんだ? 結局」


 それな。

 比悠の疑問に、全力で乗っかるわよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ