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桜蛇お嬢は自由奔放、無手勝流!@Real ⇒ Fantasy Adventurers  作者: 酒色南肴
1 Creators did redesign another world.
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1.Girl meets game

キャラクリは次からでした。_(._.)_ゴメン

《PV》

 のどかな街並み。白っぽい石造りの道と建物。窓辺に飾られる植物は、大きく花開き、画面を鮮やかに彩る。


 住人らしき人々が思い思いに歩き、時に立ち止まる。世間話でもしているのだろう、ありふれたような午後のひととき。鳥の鳴き声。平和な片々。

 そんな光景がズームアウトしていき、古風な名残りのある外国の市場風の商店街、中央広場、住宅街、畑、果樹園、そして強固な外壁が迫る。武骨な岩がいくつも積まれ、厚さも高さもかなりのもの。街中とは打って変わった物々しい雰囲気を醸し出している。


 街を俯瞰。街の周囲は草原だった。背丈のまちまちな野草に覆われ、草食の動物がそれらを食み、肉食獣は悠然と(たたず)む。


 そこからさらにグイグイ遠ざかる。森、湖面らしき光を弾くもの。青い空、地平線。それだけ離れ、ようやく画面端に別の街か村のようなものが見えた瞬間、暗転する。そして画面いっぱいに現れたもの――魔物の巨体。


 大口を開けた内部に尖った牙を生やし、特に大きな上の2本がこちらを貫かんとばかりに大迫力で映し出される。続いて吊り上がったギョロ目。漆黒を覗かせる鼻穴。ぼこぼことした突起に覆われた肌。ぬらりだらだらと零れ落ちるよだれ。四足の醜悪な身体の後ろで、身体に見合った大きさの尻尾がゆうらりと揺れる。


 その巨体がわずかに身を屈め、そして咆哮。


 と、炎を纏った剣が画面を斜めに切り裂く。

 グルガァァァと苦し気な獣声。大剣が追撃を掛け、炎の残像を残しながら次々と魔物に傷をつけていく。


 右下に注意書き。※グロテスク度:低※


 ドウ、と地響きと共に醜悪な巨体が横倒しになり、引いたカメラが大剣の主を映し出す。白銀の全身鎧を纏った精悍そうな立ち姿。絶妙な角度で顔は映されない。倒れた魔物を見上げ、満足げに腰に手を置いている。


 ふと、剣士が顔を上げる。映された空。青空に、不自然な茜色。

 赫々に吸い込まれ、炎と知る。異形の大群。魔物(モンスター)。無慈悲を体現した存在が、どこぞの街の外壁に雪崩れ込もうとする。


 ずらり、壁の前に居並ぶ者たち。思い思いの鎧や衣服を身に着け、それぞれの得物を手に。人間、人外。男女に老若。街を護り、魔物に相対する。冒険者(アドベンチュラーズ)、とテロップ。


 即発。


 翼ある人外冒険者が上空から炎を巻き落とし、地上の人間冒険者が地割れを起こす。砂埃を巻き上げ、街を護る冒険者と魔物の群れがぶつかる。剣が斧が槍が、飛び道具が魔法が散乱する―――


 再び暗転、そして黒背景に赤からオレンジ、黄色のグラデーションで『Real ⇒ Fantasy Adventurers ~to brave a danger~』


 文字が燃え上がり、消えかけたところで、『現実から幻想世界を冒険したい野郎ども(女子も可)! RFA(アルファ)に集え!!』『2×××年 発売』




 衝撃的な印象の効果音と共にゲームタイトルと宣伝文句が光り、数秒後真っ白に消え去った。そしてまたゆっくりと平和な街並みに戻る。

 ふーと息を吐く。


 見入ってしまったなぁ。


 これは面白そうに見えるなぁ。


 現在予約受付中だと?よし予約してやろう。


 V(ヴァーチャル)R(リアリティ)M(マッシブリー)M(マルチプレイヤー)O(オンライン)最新作『Real ⇒ Fantasy Adventurers』通称RFA(アルファ)との出会いは街頭P(プロモーション)V(ビデオ)でした。




 出会いがしらの一目惚れのごとく衝動予約したRFA(アルファ)だったが、実はかなりの鳴り物入りだったらしい。わたしが出会ったのは予約開始受付直後だったので普通に予約し、こうして発売日に普通の顔をして購入したわけだが。


 初回販売限定数に達し、普通に予約できず、それでもと発売日当日の量販店に並んでキャンセル待ちをする列までできていたのである。

 わたしがたまたま休日朝一でぶら散歩していた時、目に入った宣伝を見て予約。その一時間後には予約限定数に達していた、と言えばこの幸運さがわかるのではないかと思う。


 ともあれ購入日にはホクホク顔で「RFA買った!」と幼なじみに自慢し(残念βテスターだ!製品版アプデ可能だ!と返された)、なんとなく無表情にはなりながらも、休日を謳歌すべくRFAにinしたわけである。


『Real ⇒ Fantasy Adventurers ~to brave a danger~にログインいただきありがとうございます。

 サービス開始まで2時間56分。現在キャラクリエイトのみ受け付けております』


 フローリングの床と観葉植物とクリーム色の壁紙。なにかの待合室のような部屋。待合室なら椅子が並ぶあたりに何もなく、ガランとした印象だ。そこで女性N(ノン)P(プレイヤー)C(キャラクター)かな?がカウンター越しに案内してくれている。


 フルダイブ型VRMMO…脳波か何か(詳しくない)を利用し、実際にゲームの中に入って生きているかのように動けるものらしい。


 はい、お気づきの通りダイブ型ゲームは初めてであります。ダイブ型以外ならそこそこやってるんだけどね。ダイブ型はゲームとして出回ってる数が少なくて、好みと思えるものがなかったし。というかピンと来なかった、というのが大きい気分屋さんです。


 VR自体はVRショッピングでの試着なんかで利用していますよ。ただあれは手を動かす、歩く、くらいしかできず、走るとかジャンプとかの激しいのはできないんだよね。一応フルダイブしてはいるんだが、本格的な医療やフルダイブVRゲームのそれとは、いろいろ性能以外にも違いがあるらしい。平たく言えば万人向けに劣化させたやーつ。


 幼なじみ兼βテスターその1氏にざっくり説明をもらったものの、わたしの結論として百聞は一見にしかずである。楽しめればいいのである。


誘われてもやるとは限らず、誘われなくても気になればやる系主人公。


キャラクリが終わるまでは毎日投稿予定です。

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