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ゆーれー  作者: HERMES
2/7

2話

 次の日。

 女の家は意外と簡単に見つかった。まだ新しいきれいな家だった。

 とりあえず、外から中の様子を伺ってみる。

 広いリビングが見え、3人……いや4人が仲良く食事をとっている姿が見えた。

 おそらく旦那だと思われる若い男と、小学生ぐらいの子ども。


 それに、旦那の隣には別の若い女がいて、赤ちゃんを抱えている。

 傍目にはとても円満そうな家庭だが……。


「再婚、してたのか。おまけに赤ん坊まで……」


 まぁ前の妻を亡くしたと言っても、旦那の人生はまだまだ長いし子ども小さいので無理もない。

 ……女がこの事実を知ったらショックを受けるだろうか。男は悩んだ。

 ただ、こういうことははっきり言うべきだと男は思った。


「仕方がないか。現実は厳しいもんだ……」


 男は帰って女に正直に話すことにした。

 そして、帰ろうとした時、妙なものが目に映った。


「ん? 塩……?」


 家の玄関の前に、塩が盛られていた。

 それもまだ新しい。おそらく今日の朝に盛られたものだろう。

 ただ、塩は玄関だけにあるのではなかった。

 家の周りのあらゆる場所に盛り塩がされてあった。


「……変な家だな、ここは」


 一見、普通の家。

 だがよく見ると、裏口や庭にも。16方位すべてに塩が盛られてある。

 どうみても異常な光景だった。


「こんな盛り塩なんかしてたら、幽霊が入ってこれないじゃないか……いや、そうか」 

 清めの塩は、古典的だが幽霊には大きな効果がある。ぶっかけられると、強制的に浄化されてしまうほどに。

 女が自分の家を思い出せなかったのも、この塩のせいだろう。

 男は、そっと玄関の前の塩をどかした。


「これで、あの幽霊も家の場所を思い出せたはずだ」


 だが、思い出せたとしても、もう女の旦那には新しい妻がいて、赤ん坊までいる。

 その現実を、女が受け入れて無事に成仏できるかどうか……。

 男は気が重くなりながら事務所に帰っていった。


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