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才能ホルダー  作者: 雨宮結愛
第1章
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『禁句』



クラス替え初日に、転校生が来るという噂が学校中を走り回り、大きな衝撃を与えていた。

と言うか、目立ちたがりの男子が本当に走り回り、各クラスのドアを開けては言って回っているのだ。

その噂が学校中に衝撃を与えた理由は、その転校生が受けた編入試験による採点結果だ。

職員室から漏れた全問正解の言葉を、今走り回っている男子が聞いたんだそうだ。

学級上位者が集うA組の教室に加わることは事前に聞いてはいたのだが、ここが地元で一番偏差値の高い中学校という事もあり、満点を取った転入生の実力に誰もが興味を持った。

しかし、俺はそんな噂に耳を傾けている暇は無いと即判断した。

考えるまでもない。

いつものように俺は、黙々とノートにペンを走らせる。

朝礼無視は日常化し、もう誰も注意などしないし、話しかけてもこない。


はずだったのだが、


「...変な勉強法」


どうやら近くにいる女子が、俺にそう言っているみたいだった。

クラスのどよめく声が聞こえ、顔を上げると、黒板に西円寺圓と白いチョークで綺麗に書かれており、教師が慌てている様子が視界に映った。

「やめなさい」と心配そうな教師の声がその女子に向けられる。

当然注意の類ではなく、俺に関わっては駄目だという意味だろう。

一瞬反応してしまったが、俺は勉強に戻ろうと視線を下す。


「...頭悪そう」

「んあ?」


が、言葉による追撃に声を漏らす。

転校生だかなんだか知らないが、さすがにイラっとくるものがあり、不機嫌な態度で声の方へと振り向くと、そこには少女がいた。

出っ張りのない華奢な身体に、黒くて長い髪。

感情の無い冷めた瞳の上には、真っ直ぐと切られた前髪が眉にかかっていてた。

一瞬小学生かと疑ってしまうほど身長が低く、座っている俺と視線がぶつかる。


「なんだこのちっこいの」


つい出てしまった言葉とほぼ同時に、小さな拳が俺の顔面を貫いた。


「...ちっこいは...禁句」


なんて暴力的な女なんだ。

俺はそこで意識が途絶えた。


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