プロローグ
全力で受験戦争に立ち向かうのは、この日本に何人いるのだろうか。
中々悪くない自分のランキングを見つめながら、そんな事を思った。
コミュニケーションが苦手で、運動では一番になれない俺はこの時決断する。
勉強で一番になる、と。
その日から、みんなと共同していた学校生活を棄て、机に張り付き、小さくなった鉛筆と書き込まれたノートを積み上げ、テストの成績を上げていった。
ガリ勉と言われようが、問題児と親に報告が行こうが無視を続けた。
正直に言って、周りに合わせている時間など無駄だったからだ。
自分のペースで先行を続け、教科書の知識を詰め込む。
そして、満点は当たり前のように取り、少ないお小遣いで買った古本の参考書にまで手を出し始めた頃、近場で一番偏差値の高い中学に俺は難なく合格した。
しかし、全国規模で考えると環境は良くはなかった。
都内にある全ての大学の頂点、合格者が毎年百人を下回ると言われている【神人大学】に合格するにはまず、同じく都内にある【才人高校】に入学する事が最低条件。
入学初日からスタートダッシュをしないと間に合わないと思った俺は、それなりに多い提出物をこなしながらも、それの倍の量の自主課題を毎日消化していた。
そしてそのまま中学二年生に進級し、学力順にクラス替えをしたその日に俺は出逢う。
西円寺 圓と言う女学生に。