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才無き英雄の回想  作者: 珠宮 黒
一章 懐かしき世界編
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初クエスト

主人公の一人称は「俺」ですが、この物語は爺となった主人公の走馬灯なので、地の文の一人称は「私」です。

 6月第3週。

 1学期期末テストが行われた。


 テストの科目は主要5教科と保険体育、芸術科目、家庭科の計8教科。

 それと点数が出るわけでは無いが、体育の実技テストもある。

 これで合格すれば仮想科の授業で次の段階に進める。

 落ちれば艮先生の特別指導だ。

 中間テストの時に指導を受けた人達を見てから、全校生徒が必死で授業に取り組むようになった。


 その結果、全員実技テストは合格したんだが……


「先生っ!何かおかしく無いですか⁈

 5教科限定で点数の欄にマル以外ない事とかっ!」

「何もおかしく無いですね。

 現実を受け入れてください。

 というか、なぜ竪山君は主要5教科は0点なのに他の3教科は全部満点なんですか……」

「クソーーッ!」

「赤点の基準は平均点の1/4なのでそれに満たない教科があった人は後で先生の所に来てください。

 赤点補習の日程表を渡します。

 それから、望月君。

 竪山君には艮先生からも話があるそうなので、いつも通りお願いします」

「分かりました」


 連れていった時に分かった事だが、大地みたいな奴は結局、特別指導が赤点補習の他にあるらしい。


 土日明け、大地はいつもよりホッソリしていた。




「全員いるな。

 今日からはゲームを用いた授業も混ぜていく。

 皆が楽しみにしてた授業だ。

 ハメを外すなとは言わんが、外しすぎて他の人に迷惑かけるなよ。


 さて、授業の内容だが、皆にはギルドに行って、このクエストを受けてもらう」


 そう言って艮先生はギルドの場所とクエストの情報を全員に送信した。


 ギルドというのは、このゲームの街の施設の一つで、魔物の討伐や、素材の採取、人探しに護衛といった様々な依頼『クエスト』を受注したり発注したりする場所だ。

 この施設のおかげで、クエストを受ける為に1人のNPCにプレイヤーが(たか)るといった奇妙な光景が起きなくなっている。


「これは護衛系のクエストだ。

 今まで教えた事が出来れば問題無くクリア出来ると思う。

 パーティーを組んでもいいが4人以上だと受けられないから注意しろ。

 クリアできたら報酬を持ってここまで戻って来い。

 帰ってきたら授業は終わりだ。

 質問がある奴は各自聞きに来い。

 それでは解散。頑張って来いよー」


 号令で皆動き出した。




 悠と大地と一緒にギルドで依頼を受けた私たちは依頼主の商人の元へ向かっていた。


「そう言えばお前ら道具とか装備は問題無いか?」

「俺は問題無いぞ。

 特別指導で準備の大切さを叩き込まれたからな。

 あれはマジで怖かった……」


 嫌な事を思い出させてしまったようだ。


「あー。何か、ごめん。

 悠は問題無いか?」


 返事が無い。


「あれ?大地、悠はどこいった?」

「あそこ。いつも通りだ」


 そう言って大地が差した先にはNPCのオバちゃん達に囲まれて、お菓子を貰ってる悠がいた。


「なあ、大地」

「ん、何だ?」

「また、アレ持たされんのかな?」

「安心しろ。お菓子収納用のマジックバックもたせといた。

 良かったな、ゲームの中で」

「あぁ、ありがとな赤点アニキ。」

「待てっ⁈なぜそれを知ってる⁈」

「この間、佐々木幼稚園の前を通った時に園長さんと少し話してたらな、カズ君の『あかてんアニキー』と言う声と聞き覚えのある低い声が——」

「あの時かーーー!」


 しばらくして、解散された悠と若干落ち込んでる大地と共に依頼人と合流した私たちは初クエストに出発した。

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