仮想科ガイダンス
入学式から一週間が経ち、ガイダンスや学活などは委員会の決定を残し全て終わった。
そして今日。
ついに仮想科の最初の授業が行われる事になった。
キーンコーンカーンコーン キーンコーンカーンコーン ガバッ
「——今日の授業はここまで。
お前ら、5限から仮想科が始まるんだろ?
5分前にはダイブルームに移動しとけよー。
後、竪山は職員室に来い。
じゃあ、日直、号令よろしくっ!」
「起立、気をつけ、礼、ありがとうございました」
「「「ありがとうございました」」」
「はい、ありがとうございました。
しつこいようだけど、遅れんなよ〜」
「よっし、食堂いくぞ!朧、悠!」
チャイムと同時に起きた奴がなんか言ってる。
「大地呼び出しくらったばっかじゃん〜」
「そうだそうだ、そういう事は授業頑張ってた奴がいう事だ。
お前が行くのは食堂じゃなく職員室だ。
こってり絞られて来い」
「うげっ、人がせっかく忘れようとしてる事を掘り返すなよ」
ピッ『うげっ、人がせっかく忘れようとしてる事を掘り返すなよ』
「これも提出だな。
安心しろ大地、俺もついて行って『竪山くんはバックレる気満々でした』って説明してやる」
「ノーーーーーッ!」
「じゃあ、このバカ提出してくっから先に食っててくれ」
「了解。
拘束はしっかりね〜」
大地を職員室まで連行していった。
ついに仮想科が始まった。
全員、ドキドキとワクワクの入り混じった顔をしている。
「よし、竪山以外全員いるな。
皆気合十分だと思うが、今日は特別講師の先生の紹介と授業の流れくらいしかやらないと思うから楽にしていいぞ」
しかし、現実はそう甘く無い。
まぁ、少し考えれば分かったことなんだが。
ちなみに大地は飯を急いで食べ過ぎて、喉に詰まらせ保健室だ。
入学してから1週間なのに皆もう心配してない。
あいつがアホすぎるのか、周りの順応が早いのか。
「まぁ、そんなに落ち込むな。
早く終われば簡単な事を教えてくれるらしいから。
そろそろログインするはず……」
そう先生がつぶやき時計を見ていたら先生の隣に30歳位の男性が現れた。
「すいません。少し遅くなりました」
「いえ、大丈夫です。
ちょうど生徒達の緊張がほぐれてきたところなので。
それじゃあ、紹介します。
皆に護身術を教えてくれる艮 護先生です。
艮先生は護身術という、身を守る為の技術に置いて右に出るものはいないとまで言われている世界的にも有名な方だ。
皆、しっかりと教われよ。
じゃあ後はお任せします」
そう言って先生はログアウトしていった。
「それじゃあ改めて。
俺は艮 護。32歳だ。
先生でもオッサンでも好きに呼んでくれ。」
さすがにオッサン呼びする勇者はいないだろ。
「俺の仕事は皆に護身術などの技術を教える事だ。
みっちりと鍛えるから覚悟しとけよ。
次は授業の流れを説明するぞ。
まず1学期は相手から距離をとる為の技術を。
2学期から逃げる時間を稼ぐ為の技術。
それと並行して、どういった物が武器の代わりに使えるかなどの勉強。
ただ覚えるだけもつまんないだろうからVRMMOなんかも使って色んな状況も経験してもらう。
まぁ、なるべく楽しい授業になるように頑張るよ。
後は特に無いな。
よしっ、何か質問ある人はいないか。
授業の事でも俺のプライベートな事でも何でもいいぞ」
「「「「「「「「ハイッ」」」」」」」」
ババババッ
……多すぎやしないだろうか。
まぁ有名人らしいから聞きたい事も多いんだろ。
まっ、10分もすりゃ落ち着くか。
ー1時間事ー
何で質問が底をつかないんだよ……
「じ、じゃあ、他の人……」
ほら、先生すごく疲れてんじゃん。
そろそろ終わりに——
ババババッ
「もう何回も差したような気がするけど君……。
えーと、質君だっけ……?」
「はいっ、質 濃蔵ですっ。
名前を覚えていただき光栄ですっ。
先生は——」
そりゃお前みたいな名前と行動が物凄く一致してる奴、覚えるなって方が無理な話だ。
もう20回は超えてるぞ。
無理矢理終わりにしない辺り、先生は大分お人好しなのだろう。
「——」
「ありがとうございしたっ」
「じゃあ、次……。
さすがに、もう……」
ババババッ
……後で労ってあげよう。