悪夢集合体
僕は今空を飛んでいる。正確には空ではないが暗い縦穴の様な空間を上へ向かいながら飛んでいる。何故こんな場所にいるのかは分からない。何故飛んでいるのかも思い出せない。出口の明かりは見えない、空間にはカラフルで不思議な浮遊物が浮いていた。
僕はグルグルと螺旋を描きながら飛び回り上へ上へと昇っていく。
ふと下を見てみると何かが僕と同じ様に飛び回り、上へと昇って来ていた。僕は目を凝らし見ると…、それは赤黒いぶよぶよした人型の肉塊だった。僕は思い出した。今、僕はあの肉塊に追われて逃げているのだと云う事を…。
昔映画で観たホラー映画の悪霊がそのまんまの姿と凶器を振りかざして追って来た。真っ白な空間に左側は囲いに阻まれているが右側は何もないのに僕は只ひたすらに前方へと走る。しかし何もない道で躓いて転んでしまい、起き上がり様に後ろを振り向くと…ホラー映画の悪霊が僕の背後で嗤っていた。
其処は何処かの一室で何やらドラマか何かの撮影現場と思われた。
俺は関係もないのにその場に居てセコセコと撮影の手伝いをしている。その中で撮影カメラの横で白いワンピースを着た長い黒髪の女性が佇んでいた。顔は黒髪に隠れており出演者の様にも見えたが誰もが彼女を無視して通り過ぎる。
俺は黒髪の女をジッと様子を窺うが、結局彼女が動く事はなかった…。
向かいにいた女の頭が突然爆じけ飛んだ。
飼っていたと思っていた犬がどんどん小さくなり、気付けばバラバラの粘土の塊になり果てていた…。
正面には10m満たない三面鏡の壁があり天井は一切見えず鏡の壁がそびえていた。そして目の前には真冬の砕けた氷に覆われた水面が存在し、何故か底がとつてもなく深い事が理解出来た。
三面鏡の壁に映されているせいか果てしなく砕けた氷の海が広がっている様に見え、底知れぬ畏怖を感じていたその時、突然目の前に巨大な烏賊の様な幾つもの目を持つ怪物が現れた。水面が盛り上がりもしなければ渋きもなかったのに突然現れたのだ。俺は絶句し、只視界に収まり切らない烏賊を見つめるしか出来なかった…。
此等は作者が見た悪夢を思い出し着色したフィクションです。