異世界恋愛の定番の宗主国の話
『エリザベーターよ。婚約破棄を宣言する!』
『まあ、殿下、どうして?』
『真実の愛に目覚めたからだ!エリザベーターは真実の愛の邪魔をした罪で追放だ!』
・・・と、そこに宗主国の王子が登場し。
『君、真実の愛とは遡及するものなのか?』
颯爽とヒーローのように登場し悪役令嬢を助ける。皆は平伏する。
めでたし。めでたしだ。
・・・・・・・・・・・・・・
しかし、現実は・・・
「属国管理官殿、エリザベーター嬢が不行跡で婚約者を交代されました」
「あ、そう、いちいち報告しなくていいわ」
「はっ!」
この国に来るのは役人である私、リリーである。
中国の皇子がモンゴル高原を訪れるか?李氏朝鮮だったら国王自ら土下座して使者を出むかえたのは歴史的事実だ。
属国、それは恐ろしほどの惨さだ。
まあ、転生前の韓流ドラマだと、中国皇帝と李氏朝鮮国王が並んで対等に話している描写もあるから、ドラマの改変がネット小説に伝染したのかもしれない。
ケーキにシロップをかけて更に蜂蜜をドバドバかけた感じか?
私は平民出身の官吏で前世の知識があるから登用された。しかし、属国官吏である。
まあ、左遷だ。
帝都はあらゆる産物が集まる。毎日お肉が食べられたな。
その後、婚約破棄された令嬢が私の元を訪れた。
「グスン、グスン、帝国に行き女官になりたいですわ・・・」
「無理ですね」
「ええ、帝国では平民でも登用されると聞きましたが・・」
「平民出もおりますが、上級の平民が朝から晩まで勉学に励んでの結果です」
「そんな・・・」
「よほどの縁がなければ皇族と結婚も出来ませんよ・・・」
「グスン、グスン、グスン・・・なら、私はどうしたら・・」
「では通訳をやっては如何ですか?」
「通訳?」
「ええ、調べでは新王太子妃は男爵家出身、ザルツ語をよく話せないと思います」
令嬢と普通に話しているが、ザルツ語を習得されている。この国の高位貴族はザルツ語を学ぶのが常識だ。
「い、嫌ですわ。男爵令嬢の下で働くなんて・・」
「違います。この大使館付きの通訳です」
「まあ・・・」
私は通訳無しで話せるが、他の官吏は違う。私が本国に帰ったらそのままいてもらう。
そして、李氏朝鮮ではたかが通訳が国王と馬を並べてもお咎め無しの権勢を持つ者がいた。
「はい、頑張ります」
「貴女も話せるけど本国で学んで下さい。紹介状を書きます」
「はい!」
令嬢は連絡員とともにザルツ本国に向かったわ。
その後、協力者から報告を受けた。
「リリー殿、やはり王太子は独立派です」
「そう、もう、大丈夫だわ。けん制出来る人物が出来たから・・」
改めてこの王国の王城を見つめる。この王都も帝国の地方都市みたいだ。
こんな小さな国で争って何がしたいのだが・・・
と思う私は転生者だ。前世、他国のことは言えないのかもしれない。
最後までお読み頂き有難うございました。




