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10.新聞配達

 部屋を出る。


 まだ外は暗い。


 静かな朝。


 階段を降りようとしたときだった。


「あやめちゃん」


 声。


 見ると――


 すずとゆいが立っていた。


「……」


 私は少し驚く。


 すずがにこっと笑う。


「今日からだよね、新聞配達」


 ゆいも腕を組みながら言った。


「ちゃんと起きられたのね」


 私は言う。


「起きました」


 すずが手を振る。


「気を付けて行ってらっしゃい」


 ゆいも少し照れくさそうに言う。


「……頑張りなさいよ」


 わざわざ起きて見送りしてくれたらしい。


「ありがとうございます」


 私は頭を下げた。


 優しい。


 私は玄関を出る。


 空はまだ暗い。


「さて」


 私は小さく拳を握る。


「気合入れて頑張ろう」


 新聞屋さんに着く。


 店の前にはトラック。


 新聞の束。


 店主のおじさんがいた。


「おはようございます!」


 私は元気よく挨拶した。


 挨拶大事。


 おじさんが振り向く。


「おう、あやめちゃん」


「早いな」


 私は頷く。


「今日からよろしくお願いします」


 おじさんは笑った。


「元気でいいな」


 新聞の束を指さす。


「今日はこれをお願い」


 私は頷く。


「はい」


 おじさんが紙を渡す。


「これ配達表」


 もう一枚。


「念のため地図」


 私は受け取る。


「ありがとうございます」


 おじさんが外を指さした。


「自転車はこれ使って」


 私は自転車を見る。


 前かご付き。


「じゃあ」


 おじさんが言う。


「よろしくね」


「はい!」


 私は新聞をかごに積む。


 出発。


 朝の街。


 まだ暗い。


 静か。


 私は配達表を見る。


「ここ」


 最初の家。


 ポストに入れる。


 次。


 次。


 次。


「……」


 少しずつ慣れてくる。


 配る。


 配る。


 配る。


 途中で空が少し明るくなってきた。


「あと少し」


 最後の家。


 ポスト。


 新聞。


「よし」


 私は時計を見る。


 だいたい一時間半。


 ちょうどいい。


 私は自転車で店に戻った。


「終わりましたー!」


 店に入る。


 おじさんが顔を上げた。


「おう」


 私は言った。


「たぶん間違いは無いと思います」


 おじさんは頷く。


「ご苦労さん」


 そして笑った。


「明日もよろしく」


「はい!」


 私は外に出る。


 仕事終了。


「……」


 少し達成感。


 私は空を見る。


 朝の光。


「帰ろう」


 まだ学校までもう少しある。


 今日は春休み。


 帰ったら――


「のんびりしよう」


 でも。


 私は少し考えた。


「……」


「初仕事」


 私は小さく笑う。


「今日は」


「少し贅沢しちゃおうかな」

 

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