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8.アルバイト

 次の日。


 私はアパートの前に立っていた。


 今は春休み。


 中学校の入学前だ。


 時間はある。


「……」


 生活費。


 魔法少女。


 成功報酬三百万。


 でも、それは魔王を倒したあとだ。


 今はまだゼロ。


「アルバイト」


 私は呟いた。


 とりあえず出来るかどうか聞いてみよう。


 近くの新聞屋さんへ向かった。


 店のドアを開ける。


「すみません」


 中からおじさんが出てきた。


「どうしたの?」


「新聞配達のアルバイトって出来ますか?」


 おじさんは少し驚いた顔をした。


「君、小学生?」


「春から中学生です」


「なるほど」


 おじさんは腕を組んだ。


「出来なくはないけどね」


 私は少し期待する。


 でも次の言葉で止まった。


「親の許可が必要だね」


「……」


「あと学校の許可」


「……」


 私は少し考えた。


「困った」


 おじさんは苦笑する。


「まあそうだよね」


「相談してからまたおいで」


「はい」


 私は頭を下げて店を出た。


 アパートに戻る。


 玄関の前で立ち止まった。


「……」


 どうしたものか。


 そのときだった。


「あら」


 声がした。


 振り向く。


 水森しずくだった。


「あやめちゃん」


「どうしたの?」


 私は答えた。


「アルバイト」


 しずくは首をかしげた。


「アルバイト?」


「新聞配達」


「でも」


「親の許可と学校の許可が必要って」


「……」


 しずくは少し考えた。


「なるほど」


 私は言った。


「困りました」


 しずくはにこっと笑った。


「その新聞屋さん」


「知ってるところだから」


「え?」


「聞いてみてあげる」


 そう言って歩いていった。


「え?」


 私はその場で止まった。


 数十分後。


 しずくが戻ってきた。


「あやめちゃん」


「はい」


「話してきたわ」


 私は少し緊張した。


「どうでした?」


 しずくは言った。


「雇ってくれるって」


「!」


「ただし」


「四月から」


「朝刊だけ」


「週四日」


「来れるなら」


「だって」


 私は即答した。


「やります」


 しずくは笑った。


「じゃあ」


「もう一回行きましょう」


 私は頷いた。


「はい」


 もう一度新聞屋さんへ行く。


 おじさんがこちらを見る。


「あれ?」


 しずくが言う。


「さっきの子です」


「うちのアパートの子」


 おじさんは納得した顔をした。


「なるほど」


 私は頭を下げた。


「よろしくお願いします!」


 おじさんは笑った。


「元気だね」


「じゃあ四月から」


「頑張ってね」


「はい!」


 私はもう一度頭を下げた。


 帰り道。


 私は言った。


「しずくさん」


「ありがとうございます」


 しずくは首を振った。


「いいのよ」


「あやめちゃん」


「はい?」


「頑張り屋さんだもの」


 私は少し照れた。


「生活費」


 しずくはくすっと笑った。


「現実的ね」


 私は頷いた。


「大事です」


 しずくは言った。


「朝早いわよ?」


「大丈夫?」


 私は答えた。


「起きます」


 しずくは楽しそうに笑った。


「じゃあ」


「魔法少女と新聞配達」


「両立ね」


 私は言った。


「生活優先です」


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