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7.魔王城の住人

 夜。


 夕飯を食べ終わって、私は机に突っ伏していた。


 今日は色々ありすぎた。


 魔法少女。

 魔王。

 大家さん。


「……」


 肩の上でシビルが小さく言う。


「人生って不思議ですね」


「まだ十二年」


 コンコン。


 ドアがノックされた。


「あやめちゃん?」


 しずくの声だった。


「はい」


 ドアを開ける。


 しずくが立っていた。


「みんな帰ってきたから」


 にこっと笑う。


「お話しましょう」


「はい」


 私はスリッパを履いた。


 肩の上のシビルが震えている。


「大丈夫?」


「大丈夫じゃありません」


「行くよ」


 玄関を出て庭へ向かう。


 フェアリーハイツの小さな庭。


 そこにはもう何人か集まっていた。


「お、来た」


 元気な声。


 野原すずだった。


「新しい子?」


 朝倉ゆいが腕を組んでいる。


「へぇ」


 じっと見てくるのは白峰りん。


「あら」


 月城あずさが微笑む。


「あやめちゃん」


 しずくがみんなを見る。


「集まってくれてありがとう」


 私は周りを見た。


 今の魔王城の状況はこんな感じだ。


 1階


 101号室 水森しずく

 102号室 朝倉ゆい

 103号室 空き

 104号室 風見あやめ


 2階


 201号室 月城あずさ

 202号室 野原すず

 203号室 白峰りん

 204号室 空き


 私は少し考えた。


 私と大家さんを抜く。


 残り四人。


「四天王?」


 すずが笑った。


「それっぽい!」


 ゆいが言う。


「なにそれ」


 りんは腕を組んだままだ。


 あずさは小さく笑う。


 しずくが手を叩いた。


「えーっと」


「昼間の話なんだけど」


 みんなを見る。


「あやめちゃん」


「魔王を倒す契約をしたの」


 沈黙。


 ゆいが言う。


「……は?」


 すずが笑う。


「面白そう」


 りんが言う。


「本気?」


 あずさは穏やかに聞く。


「あやめちゃん?」


 私は答えた。


「生活費」


 すずが笑う。


「リアル!」


 しずくは続ける。


「それでね」


 昼間の話を説明する。


「私のしもべを倒したら」


 アパートを指さす。


「住人」


「勝ったら」


「私への挑戦権」


 ゆいが笑う。


「へぇ」


 りんは少し目を細めた。


 すずは楽しそうだ。


 あずさは微笑んでいる。


「あと」


 みんなを見る。


「勝ったら」


「負けた人は」


「手下になってください」


 ゆいが笑う。


「強気じゃん」


 すずが言う。


「面白そう」


 りんが言う。


「手加減はしないわよ」


 あずさは柔らかく言う。


「あやめちゃんも大変ね」


 しずくはのんびり言った。


「私はまあ」


「そんな感じなので」


「よろしくね〜」


「ただ」


 みんなを見る。


「学校」


「試験」


「アルバイト」


「あるので」


 すずが言う。


「アルバイト?」


「新聞配達」


 ゆいが笑った。


「生活感すごい」


「なので」


「すぐ勝負はしないかも」


 りんが頷く。


「合理的」


「勝負方法を思いついたら」


「声をかけます」


 すずが手を挙げる。


「なにそれ」


「面白い」


 ゆいが言う。


「まあ」


「受けて立つわよ」


 あずさは優しく言う。


「楽しみにしてるわ」


 りんは短く言う。


「いつでもいい」


 しずくがふわっと笑った。


「ほら」


 シビルを指さす。


「そこの妖精くんがね」


「あやめちゃんを巻き込んで」


「戻れって言うのよ」


 シビルが慌てる。


「言います!」


「戻ってください!」


 しずくは笑う。


「でも」


「面白そうじゃない?」


 すずが言う。


「確かに」


 ゆいが言う。


「退屈しなさそう」


 りんが小さく言う。


「悪くない」


 あずさは微笑む。


「賑やかになりそうね」


 しずくが手を叩いた。


「じゃあ」


「魔王城のルール」


「決定ね」


 私は小さく頷いた。


 肩の上でシビルが青ざめている。


「妖精界が泣きます……」


「生活が先」


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