14.銭湯
ある日の夜。
シャワーを使おうとユニットバスの蛇口をひねった。
……。
水。
もう一度ひねる。
……。
やっぱり水。
「……」
お湯が出ない。
私は少し考えた。
とりあえず、その日は鍋でお湯を沸かした。
タオルを温めて体を拭く。
「不便」
でも仕方ない。
――次の日の朝。
私は一階に降りた。
「しずくさん」
「あら、あやめちゃん」
「すいません」
「お湯が出ないです」
しずくは少し考えてから言った。
「あらあら」
「給湯器の故障ね」
「業者呼ぶから大丈夫よ」
私はほっとした。
するとしずくが続けた。
「ただ」
「今日の夜はお湯使えないわね」
「え?」
しずくはにこっと笑った。
「一緒に銭湯に行きましょう!」
その声を聞きつけたらしい。
廊下から声がした。
「銭湯?」
すず。
「銭湯行くんですか?」
ゆいも顔を出した。
「私たちも行く!」
すずが即答。
ゆいも頷く。
「たまにはいいわね」
こうして。
夜。
みんなで銭湯へ行くことになった。
――銭湯。
広いお風呂。
「……」
私は思わず声が出た。
「広い」
すずが嬉しそうに言う。
「やっぱり銭湯いいよね!」
ゆいも頷く。
「久しぶりだわ」
しずくが言った。
「給湯器の故障だし」
「遠慮しなくていいからね」
「ありがとうございます」
お湯につかる。
「……」
あったかい。
気持ちいい。
すずが言う。
「広いお風呂って最高!」
私は思った。
みんなで来る銭湯も悪くない。
――帰り道。
銭湯の入口。
冷蔵ケース。
瓶の飲み物。
フルーツ牛乳。
すずが言う。
「これ飲む!」
ゆいも一本取る。
しずくが言った。
「あやめちゃんもどうぞ」
「え、いいんですか?」
「もちろん」
私は一本取った。
瓶を開ける。
ごく。
「……」
甘い。
おいしい。
すずが言う。
「お風呂上がりの牛乳!」
ゆいも頷く。
「定番ね」
私は笑った。
「たまには銭湯もいいですね」
体もさっぱりした。




