欠けた文字を縫い直す少女は、夜だけ立つ影と歩く。
最新エピソード掲載日:2026/02/10
人口七万ほどの町、境見市。和紙と文具を扱う「境見文彩堂」で働く境ひよりは、文字が欠けて見えることがある。
幼い頃、白霧山で遭難したひよりは一度だけ“裏”へ迷い込み、そこで影の相棒と出会った。昼は足元の影に潜み、夜にだけ立体化する影は、必要なことしか話さない。それでも、ひよりが欠けに手を伸ばすたび、力を貸している。
祖母で札師組の師匠・境いとから教わったのは、欠けを「縫い」、本来あるべき場所へ返すための作法。結び札に欠けの輪郭を写し、糸で結び直し、印を打ち、水で鎮める。ひよりはその儀式で、町の異常を一つずつほどいていく。
幼い頃、白霧山で遭難したひよりは一度だけ“裏”へ迷い込み、そこで影の相棒と出会った。昼は足元の影に潜み、夜にだけ立体化する影は、必要なことしか話さない。それでも、ひよりが欠けに手を伸ばすたび、力を貸している。
祖母で札師組の師匠・境いとから教わったのは、欠けを「縫い」、本来あるべき場所へ返すための作法。結び札に欠けの輪郭を写し、糸で結び直し、印を打ち、水で鎮める。ひよりはその儀式で、町の異常を一つずつほどいていく。