破滅の第4章 悪役令嬢と名誉の没落（婚約破棄の遠因）
舞踏会の大混乱から数日が経ちましたが――残念ながら、学園での評価は一向に回復せず、むしろ危うくなっておりますの。
善意の行動――ヒロインを助け、孤立イベントを阻止しようとしただけなのに、なぜこうも裏目に出るのでしょう。
「……本当に、どうしてこうなるのですの？」
朝の鏡の前で、自分自身に問いかけてしまいますわ。
舞踏会での行動が、王子エドワード殿下には「自分の面子を潰そうとする陰謀」に見えたらしく、微妙な距離が生まれましたの。
さらに、学園内の令嬢たちの噂も加わり――
「クラリッサ、王子の信頼を失墜させたらしい」
「イリーナに肩入れしすぎて、侯爵家の体面を台無しにした」
……いや、全力で否定しますのよ！
わたくしはただ、破滅フラグを回避したいだけなのに、善意がことごとく誤解されて逆効果。
お母さまも、例のごとく鋭い視線でわたくしを諭しますの。
「クラリッサ、このままでは家の名誉が……」
はい、わかっておりますわ。
わたくしだって望んでこんな状況になったわけではございませんのに！
心の中でツッコミを入れつつ、わたくしは深呼吸。
――そして運命の一撃。
学園中の噂が王子の耳にも届いたらしく、王子の表情がまた険しくなりましたわ。
言葉少なに距離を置かれるその感覚――
これが、序章で描かれる婚約破棄への第一歩なのですもの。
「……ちょっと待ってください！ わたくし、こんなつもりは全くございませんのに！」
焦りと困惑で、わたくしの頭は真っ白です。
善意の行動が次々に誤解され、学園中に伝播する。
王子の微妙な視線、母上の冷たい諭し、周囲の令嬢たちのざわめき。
すべてが、序章で描かれる“婚約破棄の布石”に繋がっているのですわね。
ですが、クラリッサはまだ諦めませんの。
全力で回避する――これが転生者であるわたくしの使命ですのよ。
破滅フラグが強化されようと、混乱しようと、次の手を打たねばなりませんの。
「……こうなった以上、もう一度冷静に考えましょう。破滅フラグ、絶対に避けてみせますわ！」
こうして、クラリッサ・フォン・ヴァルシュタインは、破滅回避を目指しつつも、周囲の誤解と偶然によってフラグを強化される――
学園での混乱の日々は、婚約破棄へのカウントダウンとして、着実に進んでいくのでございました。
