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08話:いよいよ実技試験が始まる

 それから数分後。


 俺は体操服とジャージに着替えてから黒木と一緒にグラウンドにやって来た。


「おぉ、物凄く広くて綺麗なグラウンドだな! 流石は大都会! そしていよいよ魔法の実技試験が始まるなんて、これはもうワクワクが止まらないよ!」

「はは、神崎はさっきからずっと楽しそうだな。そんなに魔法の実技には自信があるのか?」

「いや、そこまで自信はないけど、でも俺はこの日のために毎日魔法の修行をしてきたんだ。だからその成果を出せる日がようやく来て嬉しいって思ってるんだよ」

「聖凛高校の受験のために毎日魔法の修行をしてたなんて凄いな。それじゃあ神崎の魔法はかなり凄そうだな。って、おっと、そろそろ始まりそうだな」


―― キーンコーンカーンコーン……


 そんな話をしているとチャイムが鳴り出した。そしてすぐに試験監督は俺達の前にやってきて喋り始めていった。


「それではこれから実技試験に入る。実技試験は各自得意な攻撃魔法を発動していき、50mほど前方に設置されている複数の標的に当てて貰う。魔法の詠唱速度や精密性、威力など多数の項目から評価をさせて貰う。それでは一人ずつ試験を開始していくぞ。受験番号0001番。西村啓介。前へ」

「はい!」


 ついに魔法の実技試験が始まった。でもどうやら1人ずつの実技試験なので、しょうがない事だけどかなりの待ち時間が発生してしまう。


 なので俺は時間潰しに周りにいる受験者の様子を観察していく事にした。


「ふむふむ。緊張してそうな生徒や自信満々そうな生徒とか……まぁ当たり前だけど色々な生徒がいるんだな」

「うんうんって頷いて今度はどうしたんだよ?」

「ん? あぁ、まぁライバル視察って所かな。受験者の表情とか様子を確認していってたんだよ」

「なるほど。まぁ確かに暇だし受験生の様子を調べるのも良いかもしれないな」

「だろ? っていうかさ、何か受験者を見ていて気が付いたんだけど……何だかめっちゃ高そうな服を着てる受験者もかなり多くないか?」


 俺は首をかしげながら黒木にそう尋ねていった。


 俺みたいな何処にでもある普通のジャージを着てる受験者も多いけど、でも中にはツヤツヤしてたり煌びやかな服を着ている受験者もチラホラといる。あんな煌びやかな服を着ている生徒は一体……?


「ああいう服を着てるヤツは魔法士関連の大企業とか財閥の子供たちだろ。この学校は日本唯一の魔法専門学校だからな。だからそういう家系の子供たちは必然的にこの学校を受験するんだよ」

「へぇ、なるほど。そういえば師匠も由緒ある家系のエリート様が多いって言ってたっけ。それじゃあ高そうな服じゃなくて、あれって本当に高い服なのか」

「そういう事だ。ちなみにあそこにいるのは魔法機械の世界シェア率1位を持ってる花總機械の会長である花總家のご子息だな。というかよく見たら全国の至る所から有名な企業やら財閥のご子息やご息女が集まってるじゃんか。わぁ、これはかなり凄いな!」

「かなり凄いって……いや、お前こそかなり凄いな。何でそんなエリート様たちについて詳しいんだよ?」

「そんなの当たり前だろ。将来魔法士に関係する職業に就きたいんだったら、そういう企業について事前に調べておくのは大事だからな。特に聖凛高校は由緒ある家系の出身者が凄く多いんだ。そんな由緒ある家系の人達と交流をしておけば、今後の将来のために役立つ可能性もあるかもしれないだろ。だからそのためにも事前にそういう魔法関連の企業や財閥をチェックするのは当たり前って事さ。ってかこんな企業チェックみたいな事は皆当たり前のようにやってる事だぞ?」

「はぇー、なるほどな。そこまで調べないと駄目だったんだな。なるほどー、それは勉強になるなぁ」

「勉強になるって……何だかえらく他人事だな。もしかして神崎は今まで一度もそういう企業とかについて調べてこなかったのか?」

「あ、あぁ、そうだな。田舎だったからそんな事を調べる方法すら無かったというか……」

「そういえばさっきそんな事言ってたな。確かにパソコンとかスマホがなかったらそういうのを調べるのも難しいよな。でも聖凛高校には普通に暮らしてたら出会えないような由緒ある家系出身者が凄く多いんだ。だからそんな人達と交流するためにも、もしも聖凛高校に受かったらちゃんとそういう人達の事は調べた方が良いぞ。交流を持つ事で今後将来に何かしら良い事に繋がる可能性もあるんだからさ」

「確かにそうだな。あぁ、わかった。それじゃあもしも入学出来たらそんなお偉いさんについてもしっかりと調べてみるよ。ありがとな黒木。こんな無知な俺のために色々と教えてくれて助かるよ」

「いいよいいよ。困った時はお互い様だ。それにせっかくだし他にも聞きたい事があったら何でも聞いてくれて良いからな」

「マジか。それは助かるよ。えぇっと、そうだな。それじゃあ――」

「次。受験番号0102番。黒木健。前へ」

「おっと。すまん、俺の名前が呼ばれたから、雑談はこれで終わりだな。それじゃあ行ってくるよ」

「おう。頑張って来いよ」


 そう言って黒木は試験監督の元に向かった。そして試験監督の指示を受けて、少し離れた先にある複数の的に向かって巨大な火炎玉をぶつけていっていた。


(おぉ、黒木の魔法は凄く洗練とされてるな!)


 黒木の魔法は詠唱、精度、ダメージどれをとっても非常に高水準にまとまった良い魔法だった。黒木も今までしっかりと修行をしてきたというのが見て取れた。あれなら筆記試験がちゃんと出来ていれば余裕で合格しそうだな。


「よし。それでは次。受験番号0103番。神崎幹也。前へ」

「はい!」


 そして黒木の試験が無事に終わり、次の受験者である俺の名前が呼ばれた。なので俺は元気良く返事をしていき試験監督の前にやってきた。


 よし、それじゃあ俺も聖凛高校に合格するために全力で試験を頑張らなきゃだな!

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