06話:東京に到着するとタチの悪い男達に絡まれてる女性を目撃する
翌日の午後。
「おぉ、ここが東京かー! やっぱり大都会だなー!」
俺は新幹線と電車とバスを乗り継いでいき、聖凛高校の最寄り駅である碧山駅にやって来た。
東京のど真ん中という事で多くの人で賑わっている。もしも聖凛高校に受かる事が出来ればこんな大都会で三年間も過ごせるとか神過ぎるな!
「うわっ! あそこに外食チェーン店が沢山並んでるし、ゲーセンとか服屋とかなんでも揃ってるなんて凄すぎるだろ! これはずっと田舎で生活してきた身としては誘惑が凄すぎるなー!」
俺は辺りをキョロキョロと見渡しながらそんな事を言っていった。でもこれ以上キョロキョロしてると田舎者だと周りから見られてしまうかもしれないな……。
流石に周りから田舎者だと思われるのはちょっと恥ずかしいと思ったので、俺は辺りをキョロキョロと見渡すのは止めてさっさと聖凛高校へ目指す事にした。俺はスマホを取り出して聖凛高校のアクセスマップを表示していった。
「えぇっと、それじゃあ聖凛高校に向かうには、あの大通りを真っすぐ歩いて行けば良さそうだな。……って、あれ?」
俺は早速聖凛高校へと向かおうとしたんだけど、でもその時、俺の少し前の方で喧噪が広がっているのが見えてきた。
「あはは、君めっちゃ可愛いねー! 良かったら今から一緒に俺たちと遊ぼうよー!」
―― ぎゅっ……!
「……やめてください。同意なく勝手に腕を掴むのは犯罪行為ですよ?」
「あはは、別にこれくらい良いじゃんか! せっかくの日曜日なんだしさ、俺達と遊ぼうぜー!」
「……申し訳ありませんが、私はこれから用事がありますので」
「えー? そんな用事なんてほっといて俺たちと遊ぼうって! 絶対に俺たちと遊んだ方が楽しいからよー!」
……
「うーん、あれはタチの悪いナンパかな? 流石に助けた方が良さそうだな」
どうやら都心の真ん中でタチの悪いナンパをしている輩がいるようだ。女の人はとても困っている素振りを見せていたので、俺はすぐにその女の人を助けに向かった。
「ですから私はこれから用事がありますので、腕を掴むのを止めて頂けませんか?」
「いやいやー、別に良いじゃんかー! 俺たちと遊んだ方が絶対に良いって!」
「そうそう! せっかくの日曜日なんだからそんな用事なんてほっといて俺たちと楽しい遊びをしようぜー!」
「……すみません、その女性は嫌そうにしてるんでさっさと腕を離してあげてくれませんか?」
―― ガシッ!
「あははー、って、え?」
「は?」
―― ギュウゥゥゥ!!
「え……って、ぐぎゃああ!?」
「えっ? お、おい、ど、どうし……ぐわぁあああっ!?」
俺はタチの悪い二人組のナンパの腕を掴んでいき、そのまま全力で握りしめていった。するとナンパ男たちは苦悶の表情を浮かべ始めていった。
「ぐ、ぐぇええ!! わ、わかった!! わかったよ! 腕離すっ!! 離すから!!」
「だ、だからお前も俺たちの腕を掴むの止めてくれ!! た、頼む!! い、いってぇえええ!?」
「そうですか。わかりました。それじゃあ……」
―― パッ……
「い、いてて……く、くっそ! ふ、ふざけやがって……!」
「このガキ……舐めたマネしやがって……!」
「ふぅん? あ、もしかして……まだ握りしめられたい感じですか?? 別に俺は構わないですけど??」
俺は笑みを浮かべながらまたナンパ男たちの腕を掴むようなモーションを始めていった。すると男たちはぎょっとした顔をしながらこう言ってきた。
「うっ……じょ、冗談だよ! 冗談!! な、なぁ? 雄二? 冗談だよな?」
「そ、そうそう! 全部ただの冗談だよ! ま、真に受けてんじゃねぇよ!! このバカが! もう俺たちは帰るからな! 追ってくんじゃねぇぞ!! く、くそがっ!」
―― ダダダダダッ……!
そんな捨て台詞を吐いてナンパ男たちは走って逃げていった。まぁ何事も無く穏便に事が済んで良かった。
「あ、あの……」
「うん? あぁ、すいません。お怪我とかはありませんでした……か?」
それからすぐに絡まれていた女性が俺に声をかけてきてくれたので、俺はそっちの方向に顔を向けていったんだけど、俺はその瞬間ハッと息を飲んでしまった。何故なら……。
(な、なんだこの女の人……も、物凄い美人じゃないか!?)
俺は心の中で思いっきり驚いていった。こんなにも綺麗な女性を見たのは生まれて初めてのレベルだった。
見た目は金髪の編み込みロングヘアで青色の瞳が特徴的な綺麗な女性だった。おそらくハーフの女性のようだ。
それに佇まいも上品な感じで、貴族令嬢という言葉はまさにこの女性にある言葉だと思うレベルの超絶美人さんだった。俺は思わずその女性の事をじっと見入ってしまった。
「はい、怪我はありませんでした。助けて頂いて本当にありがとうございます」
「……えっ? あ、い、いえいえ、困ってる方々を助けるのは人として当然の事です! だ、だからその、えっと……お怪我が無かったようで安心しました!」
「はい、本当に怪我が無くて良かったです。それにしてもすぐにそんな優しい言葉を言ってくれるなんて……ふふ、君はとても優しい男の子なんですね」
「えっ? あ、は、はい! そ、それは当然ですよ! 常に優しい男の子であろうと毎日努力していますので!」
その女性はとても優しい笑みを浮かべながら俺にそう言ってきてくれた。あまりにも美しすぎて俺はちょっと動揺しながらも元気良く返事を返していった。