表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
78/97

78.三つの光

イルシア、ダルガを取り込んだ混沌竜ヴェル=ナーガ。


今まで以上の威圧感を放つ混沌竜の前に暴走状態のライナは不敵に笑っていた。


「イイゾ。マダマダ、タノシメソウダ」


暴走ライナと混沌竜の間に距離はない。

ただ、互いの殺意が空間を灼くように散っていた。


刹那・・・。


暴走ライナが空を蹴り混沌竜の懐に入り込む胸部を切り裂く。


混沌竜は怯みもせず、口を大きく開き魔力波を放つ。


混沌竜の攻撃が直撃した暴走ライナは上空から落ちる。


「ライナ!!」


ルミナが叫ぶと暴走ライナはすぐさま体勢を立て直し混沌竜に向かっていく。


迎え撃つ混沌竜と暴走ライナの攻撃は、ルミナとリリスが付け入る隙がないほどの速度と破壊力を持っていた。


リリスは暴走ライナと混沌竜の戦いを見守る。


「ライナを助けたいのに・・・足がすくんで動けないですぅ」


リリスは体が震える。あの中に飛び込めばただじゃ済まないと経験則や直感的に感じていた。


それはルミナも同じだった。自分がたとえあの中に飛び込めたとしても邪魔にしかならないと感じていた。


「それでも・・・」


「あのままのライナを放っていたら、遅かれ早かれジリ貧ですぅ」


二人は覚悟を決めライナの元に向かった。


混沌竜はルミナ達の存在に気づき、黒い呪弾の雨を一斉に撃ち出す。


邪魔をするなと言わんばかりに二人の行手を阻む。


ルミナ達は呪弾と呪弾の間を掻い潜りライナに近づいていく。


暴走ライナは二人の事など構いもせず、魔力を一気に解放する。


混沌竜は暴走ライナに意識を向け、呪弾を暴走ライナに集中させる。


速度は稲妻。

質量は隕石。


そのうちの一発が、ライナの肩口をえぐり抜いた。


血が弾け、次の瞬間には混沌竜の尾が迫り、暴走ライナの身体が、地上に向かって落下していく。


「ライナ!!」


ルミナ達とすれ違い落下していく暴走ライナ。


急転回しライナを追いかけるルミナに、混沌竜はまた呪弾の雨を降らす。


「させないですぅ!!」


リリスが魔術障壁を張りルミナ達を守ろうとするが、リリスの真横から混沌竜の巨腕が迫り、その小さな体を薙ぎ払われる。


「リリス!!」


混沌竜にとってはただの薙ぎ払いでも人間にとっては致命傷級になり得る攻撃を目の当たりにするルミナは落ちる二人のどちらを助けるべきか一瞬考えてしまう。


その一瞬の迷いを混沌竜は見逃さなかった。一瞬でルミナの目の前に現れた混沌竜はその巨大な口をルミナに開けていた。


「あ・・・」


死を悟るルミナの下からライナが現れルミナを無視し、混沌竜にグラネシスに集めていた魔力を放ち混沌竜を吹き飛ばした。


ルミナはそれを見てリリスを急いで助けに行った。


「リリス!!」


ルミナはリリスを抱き抱え体を揺らすが返事はなかった。かろうじて息はしているが早く回復魔術を施さないと危険な状態であった。


ルミナは急いで安全な場所を探すが、混沌竜と暴走ライナの攻撃の余波がルミナに襲いかかる。


浮遊魔術が得意ではないルミナは余波で起こる暴風に体勢を崩されまともに飛ぶ事もできない。


焦れば焦るほどふらふらするルミナに混沌竜と暴走ライナの攻撃で壊れた瓦礫が向かってくる。


(だめっ!!)


ルミナが目をつぶる。


「まったくおちおち眠ってもいられないですねぇ」


目を覚ましたリリスが瓦礫を吹き飛ばした。


「良かった!!」


安堵の表情を浮かべるルミナ。


「良くないですぅ。肋が何本か折れてて息するのも辛いですぅ。早く降りて治しやがれですぅ」


「それだけ憎まれ口叩けたら大丈夫ね」


「だーかーらー・・・もう何でも良いですぅ」


リリスは諦め目を閉じルミナに身を委ねた。


落ち着きを取り戻したルミナはゆっくり地上に降りてカイルを探した。


「カイル!!」


「分かってる。俺とルミナの回復魔術で一気に回復させるぞ」


カイルはすでにルミナの着地点で残りわずかな魔力を溜めながら待機していた。


ルミナはリリスを地面にゆっくり寝かし回復魔術をカイルと一緒に唱える。


「「痛み、眠れ!!ヒール・ロック」」


リリスの体が光に包まれ傷が消えていく。


「まだよ!!白き輝きを・・・。ヒール・グレイス」


ルミナは続け様に回復魔術を施し、リリスの体の内部を修復していく。


「はあ、はあ、はあ・・・」


ルミナの魔力も底をつきかけていて回復速度が著しく遅かった。


(もう、限界・・・)


ルミナが倒れかけた時、フェリアが駆け寄り体を支えた。


「ごめーん。街の人に魔力回復ポーション二本貰ってきたよ。飲んで」


フェリアは瓶の蓋を開けルミナの口に流し込んだ。


ルミナは体の中で魔力が回復するのを感じ元気を取り戻していった。


「これなら!!」


ルミナは両手を空に掲げた。


「命よ、脈動せよ!!ライフ・サージ」


光の輪がリリスを包み込むように傷を癒していく。


リリスは突然目をカッと開きすぐ立ち上がり、ライナの元に飛び上がった。


「まだ完全に終わってないわ」


ルミナが慌てて止めるがリリスは聞く耳を持たなかった。


「何悠長な事言ってるですかあ!?ここは戦場。目が覚めたらすぐに攻撃に転じないとまたやられるですぅ」


「そうだけど、リリスも魔力あまり残ってないんじゃ。フェリアがあんたようにもう一本・・・」


ルミナがフェリアを見るとすでにフェリアの手にはポーションの瓶はなく、リリスが口に咥えながら飲んでいた。


「えぇーーーー。いつの間に」


フェリアの動体視力は決して悪くないが、そのフェリアを持ってしてもリリスに取られたのに気づけなかった。


「ちょっと待ちなさい!!」


ルミナは慌ててリリスを追いかけるが魔力が回復したリリスにぐんぐん離されていく。


「もうライナは限界ですぅ!!早く行かないと」


「そうは言っても私達が近づいても・・・」


「さっき不本意ですが、ルミナの腕の中で目を閉じらせてもらってる間に、あの二人の攻撃の音のパターンは把握したですぅ!!あのクソドラゴンにダメージは与えられなくても、ライナを止める事はできるですぅーーー」


混沌竜と暴走ライナの姿を肉眼で捉えれるほどまで近づけたリリスは二人の猛攻の衝撃を避けつつ、暴走ライナと混沌竜より上に回り込み隙をうかがった。


暴走ライナは混沌竜の攻撃にかなり押されていて、致命傷は避けれているが体中傷だらけになっていた。


「コノテイドノ、マリョクニ、ヒメイヲ、アゲルトハ、ゼイジャクナ、カラダダナ。ハガユイ!!」


暴走ライナは体が思い通りに動かない事にイライラしていた。


紅黒の魔力を帯びたグラネシスが混沌竜の顎を斬りあげる。


『ぐっ!!』


混沌竜が暴走ライナの攻撃に体が反り上がる。


ここだと思ったリリスは暴走ライナの背後に回り体を密着させた。


「ライナ!!やめるです!!これ以上やったら体が壊れるです」


「ウットオシイ、セッカク、イイトコロナノダ。ジャマヲ、スルナアアアアァア!!」


暴走ライナは魔力を解放し無理矢理リリスを引き離そうとするがリリスは腕の力を緩めず更に強めた。


「お前が何なのかは今はどうでもいいですぅ!!さっさとライナに体を返しやがれですぅ!!お前じゃ力不足ですぅうううう!!」


リリスも負けじと魔力を解放し暴走ライナと張り合う。


暴走ライナはグラネシスを振り上げる。


「こんだけ密着してるのにどう振るつもりですかぁ?」


「コノカラダゴト、オマエヲ、ツラヌイテヤル」


その言葉に目を見開くリリスだが今拘束を解いたら二度とチャンスは来ないと思ったリリスは何もできなかった。


「そんな事させない!!」


追いついたルミナが暴走ライナの腕にしがみつく。


「ナンナノダ、キサマタチハ!!」


暴走ライナは体を激しく動かし、二人をどうにかして引き剥がそうとする。

それでもルミナ達は決して離さなかった。


「返しなさいよ!!」


「お前は引っ込んでろですぅ」


暴走ライナを必死に止めてる間に混沌竜が立ち直り、周囲に複数の魔法陣を形成する。


『仲間割れか?だが我は容赦せんぞ!!カオス・ジャベリン』


巨大な槍の形を模した黒い魔力が魔法陣から三人に向かって放たれる。


二人は暴走ライナを捕らえてるので避ける体勢をとれない。


守る術も間に合わない。


すると、暴走ライナの身体が、ルミナとリリスの前に“瞬間移動したかのように”立ち塞がり全ての攻撃を二人を守るように一身に受けた。


「ナン、ダ・・・コレハ・・・」


暴走ライナも驚き、呆然としていた。


ルミナとリリスは瞳を揺らし震える声で”ライナ”に話しかけた。


「ライナ・・帰ってきて・・・!お願いだから・・・私達の声を聞いて・・・!」


「ねぇライナ。ライナが一人で背負う必要なんてないんです・・・。リリスたちは、仲間でしょ・・・?

だから・・・戻ってくるです――!」


「ムダダ。イクラ、ヨビカケヨウガ、奴は・・・!!」


グラネシスを持ってる反対側の左手が勝手に反応し右手首を掴む。


「コ、レハ・・・」


「随分、勝手に暴れ回ってくれたな!!」


ライナが言葉を発する。


「バカナ!!オクソコニ、オイヤッタノニ、ナゼ!?」


『貴様が小娘達に動揺してくれたおかげで、掬い上げれたわ』


グラウ=ネザルの声がライナの頭の中に響く。


「グラウ=ネザル!!!」


ライナの表情に怒りの表情とざまあみろという表情が混合していた。


「オトナシク、ネムッテロ!!オマエタチデハ、アノ、リュウニハ、カテンゾ」


『あの小娘、リリスの言葉を聞いていなかったのか?』


「お前じゃあ力不足なんだよ!!俺の中で俺達が勝つところを指咥えて見てろ!!」


ライナは”闇”をグラネシスに抑え込んでいく。


徐々に消えていく”闇”。


「イイダロ。セイゼイ、アガケ。ソシテ、オモイシレ!!ジブンタチノ、ムリョクサヲ」


”闇”は完全に消え去り、元のライナが戻ってきた。


ライナを挟むようにルミナとリリスが横に立つ。


「ライナ・・・」


ルミナは顔を覗き込むようにライナを見る。


「心配かけたな」


ルミナに優しい笑顔を見せるライナ。


「ライナアアアアアア!!」


リリスがライナの背中に泣きながらしがみつく。


「リリスも悪かった」


背中から離れたリリスの頭をポンポンとする。


リリスは顔を赤ながらへへへと笑う。


グオオオオオオオオ!!!


混沌竜の咆哮に三人は真剣な表情に戻る。


「三人でとっとと終わらすぞ!!」


「「うん!!!」」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ