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4.脅威

ライナ、ルミナは魔王討伐の為に冒険の旅に出た。


時は遡って、ライナが召喚されて少し経った後・・・。


ー???・玉座の間ー

とある場所の玉座の間に5人が横一列に並んで立っていた。


そして5人の前には空の玉座があった。


「俺達が集められたのは、突如現れた謎の気配の事だろうな」


「そうですわね。とても強い力を感じましたわ」


「あれだけの力を感じるのって超久しぶりって感じがするんですけどぉ〜?」


「がはははは。俺様と互角に戦える奴なら誰でも歓迎だ!!」


「黙れ、もう少しで魔王様がおいでになさる」


その男が、玉座の間に姿を現した瞬間——空気が変わった。


ただそこに【在る】だけで、世界が沈黙するような気配。


長く流れる漆黒の髪は、闇夜に紛れるように静かに揺れ、その先端には、魔力の揺らめきが紫電のように走る。


金と紅蓮、左右で色の異なる瞳が、あらゆる存在を見透かすかのように煌めいた。


纏うのは、闇と威厳を凝縮したようなローブ。


衣の縁には古代の呪文が淡く脈打ち、背には形なき漆黒の翼——それは実体すら曖昧な“影”でありながら、圧倒的な質量と魔圧を放っていた。


「よく、集まった・・・」


低く響く声に、床石すら軋む。


その一言だけでも圧倒的な威圧感を感じさせる。


5人は全員跪き頭を下げた。


「「「「「はっ!!我が魔王グラン・ディアヴォルス様」」」」」


「全員、面を上げ」


その言葉に5人は顔を上げ、魔王グランを見た。


「お前達の事だ、もう気付いてはいるだろうが、招集を掛けたのはこの世界に現れた異端分子についてだ。それの正体はおそらく異世界から召喚された勇者だ」


魔王グランの言葉に5人に緊張が走った。


「グラン様」


漆黒のドレスを身に纏った少女が前に出た。


「何だ?【リリス】」


「勇者が召喚された事には驚いたんですけどぉ〜、リリス的には直接顔を合わせてまで話し合わなきゃいけない程の脅威は感じられないんですけどぉ?」


「リリス、グラン様に意見するなど万死に値する」


全身を黒鉄の鎧で覆っている男が、リリスの肩を掴み赤い眼光で睨んだ。


「リリスは思った事を言っただけで〜す。【ジーク】は頭硬すぎ」


あっかんべーとするリリスにジークは手に持っている戦鎚を振り上げた。


「おっ!!喧嘩か?やれやれ!!」


上半身が裸の男が煽る。


「何を言っているのですか【バルグロス】!?」


ネイビーブルーのスリット入りドレスを着た女性が止めに入る。


「【セレネア】。面白い所だから邪魔すんなよ」


バルグロスがセレネアの腕を掴んだ。


ドン!!!!!


ダークグレイのコートを纏った男が剣を床に突き刺した。その影響で部屋が大きく揺れた。


「貴様ら、グラン様の前だという事を忘れてないか?」


男は他の4人を侮蔑の目で睨んだ。


4人は大人しくなり、再び跪いた。


「よい、【ヴァルゼル】。リリスよ、先ほどの質問だが、勇者はおそらく巧妙に力を隠している。今感じている力が全てと思うな」


「承知しました。そでれはどう対処いたしますかぁ?」


「今は捨て置け。力は未知数だが、お前達なら問題無いだろう」


魔王グランの言葉に、ヴァルゼル以外の4人は誇らしげに笑みを浮かべた。


「だが、最大限の警戒はしておけ。お前達の誰か一人でも欠ければ、我らの悲願が遠のく」


「「「「「はっ!!」」」」」


「頼んだぞ、《奈落の星徒ギルデッド・スターズ》」


魔王グランはそれだけ言い残し、フッとどこかに消え去った。


残された5人はこれからの動向について話し合いを始めた。


「それでどういたしましょうか?グラン様は捨て置けとは言っていましたが・・・」


「俺様が叩き潰してきてやるよ」

「バルグロス、グラン様の命に背くのか!?」

「こういうのは早めに叩いていた方がいいだろうが!!結果グラン様の為になる」


「バルグロスにしては珍しくまともな意見ですね。私も不安因子は早めに取り除いておくべきだと思いますわ」


「んんん・・・」


「くだらん。勝手にしろ。俺は俺のやるべき事をやる」


ヴァルゼルは玉座の間を後にした。


「ん?リリスは?」


バルグロスが周りを見るがリリスの姿がどこにもなかった。


「まさか、あの子‼︎」


「勝手な行動を」


ーアルネス平原ー

ライナとルミナがセフィリアを旅立ってから1週間経っていた。


ルミナが1人で魔物を倒しており、ライナは岩に寝転がっていた。


「はぁ、はぁ、はぁ・・・。勇・・・ライナも少しは手伝ってくだ・・・よ」


「いや、いや、俺もう10匹イノシシみたいな魔物倒したし、残りのゴブリンは余裕だろ?」


ライナとルミナの周りには30匹ほどのゴブリンが取り囲んでいた。


「あああああ!!後で覚えてなさいよ。我が掌に集え、紅き理の原点。命を焦がす熱となれ――火球(ファイヤー・ボール)


ルミナはファイヤー・ボールを何回か唱え、ゴブリン達を一掃した。


ルミナは地面にへたり込んだ。


「やっと終わった・・・」


「お疲れさん」


2人はアルネスの街の宿に戻り食事をした。


「1週間でだいぶフランクになってきたな」


肉を頬張りながら喋るライナ。


「それはライナが、自分の事を勇者様じゃなくて名前で呼べって言うし、かしこまった喋り方もやめろって言うから」


「俺が17でルミナが16だろ?歳近いんだしいいだろ?勇者についても、俺はまだ何も成してないし、自分で名乗ることでもない」


「ライナ」


「俺の事を勇者かどうか決める事は周りの人間だ。周りが俺を勇者だと思うなら、俺はそれに全力で応えるだけだしな。だから今の俺はただの冒険者のライナだ。よく食った。じゃあ俺は先に部屋で寝るわ。おやすみ」


ライナは席を立ち自分の部屋に戻った。


(そんな考えを持っているだけで十分勇者の器なんだけど、本人はそれが当たり前なんだろうな)

ルミナも残りの料理を食べ自分の部屋に戻った。


次の日宿を後にした2人は次の街を目指した。


だがこの時2人はすぐそこまで脅威が迫っている事にまだ気付いていない。


「フフフ・・・待っててねぇ、勇・者・様♪」

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