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32.ルミナ&フェリアVSイルシア&ガルロス1

息も絶え絶えで、身体中は傷だらけ。魔力も尽き、立ち上がる力すら残っていない、ルミナとフェリアは地面に横たわっていた。


イルシアの手に集う漆黒の魔力が、刃のような形を取り始める。


それが放たれれば、もはや二人に抗う術はない。誰が見てもそう思える瞬間だった。


だがそのとき。


「・・・まだ・・・終わってない・・・」


瓦礫に倒れていたフェリアが、血に濡れた唇からかすれ声を絞り出した。


握っていた折れかけの魔法剣が、なおも力強く輝きを宿す。震える足を無理やり押し上げ、ふらつきながらも立ち上がる。


その姿に、ルミナも薄れゆく意識の奥で目を見開いた。


彼女の胸奥から、これまで修練で積み重ねた言葉が蘇る。


弱点を克服しろ。


決め手に欠けるなら、今こそ決め手を作れ。


「フェリア・・・一人で背負わせない。私も・・・!」


折れかけの杖を両手で強く握り、ルミナの身体に淡い光が宿っていく。


修練中に常に魔力を放出し続けていた日々、その果てに培った「魔力を無理やり練り直す技術」。


砕けかけの杖すら、今は魔力の媒介に過ぎない。


二人の瞳が再び燃える。


イルシアがその変化を察知し、冷淡に吐き捨てた。


「・・・立ち上がるの? 無駄よ。」


「無駄かどうかは、あんたを倒してから決める!」


フェリアが一歩踏み込み、魔剣士のように魔法剣を構える。


「私は・・・みんなの未来を護る!」


ルミナの身体から光の奔流が溢れ、彼女の周囲に複数の魔法陣が展開する。


二人の傷だらけの身体が、まるで修練の日々を再現するかのように、再び戦いの構えを取った。


その瞬間、ガルロス=タートラが咆哮し、イルシアの黒き魔力が迸る。


絶望の中から這い上がった二人と、圧倒的な敵との戦いが再び始まる。


二人が決意し、立ち上がり強大な敵に立ち向かおうとするが現実は非常だ。


イルシアの放つ漆黒の魔力が都市を呑み込むように広がり、ガルロス=タートラの巨体が地を揺らしながら迫る。


倒れ伏したルミナとフェリアを見下ろし、イルシアが無感情に嗤った。


「無様ね。これが“未来を託された者”の姿?」


その瞬間


「彼女達を守れ!」


都市の魔術師たちが一斉に立ち上がった。


次々に魔術陣が輝き、炎、氷、雷、風が交錯してイルシアとガルロスを押しとどめる。


だが彼らも分かっていた。力は届かない。自分達では勝てない。


それでも、時間を稼ぐことはできる。


その隙に、残った数人の治癒術師が倒れた二人へ駆け寄る。


「お願いだ・・・立ち上がってくれ!」


「お前達に賭けるしかないんだ!」


血に濡れたフェリアの胸に、淡い癒しの光が流れ込む。


ルミナの砕けた杖の周りにも、仲間の魔力が注ぎ込まれていく。


肉体は限界を超えていた。それでも、彼らは命を削るように魔力を注ぎ込んだ。


イルシアの冷たい声が響く。


「無駄な抵抗ね。あなたたち程度では、この混沌を止められない」


漆黒の魔力が波のように押し寄せる。


だが、その前に数十人の魔術師たちが結界を展開した。


「プロテクション・サークル!」


幾重もの防御陣が重なり、闇の奔流をかろうじて押し留める。


しかし結界はすぐに軋み、光が弾け飛ぶ。


「くっ・・・耐えろ!一秒でも長く!」


別の魔術師が地面を叩き、《アース・ウォール》の岩壁をせり上げる。


それを雷の魔術師が貫き、電撃を迸らせてイルシアの足を鈍らせた。


「彼女たちが立ち上がるまで・・・!俺達が道を繋ぐんだ!」


一人、また一人と魔術師が倒れていく。


血を吐きながら、それでも立ち上がり、魔術陣を展開し続ける。


自分達でも希望を繋ぐ盾にはなれるのだと信じ。


治癒術師達が必死にルミナとフェリアに魔力を注ぎ込んでいた。


「心臓の鼓動が弱い……!もっと魔力を!」


「構うな、俺の分まで注ぎ込め!ここで終わったら、すべて無駄になる!」


ルミナの全身を淡い光が包む。


だが彼女の魔力は荒れ狂い、癒しの力を拒むかのように暴れていた。


治癒術師の額から汗が滝のように流れる。


「・・・こんな膨大な魔力・・・普通の治癒では抑えきれない・・・!」


「抑えるんじゃない・・・重ねろ!俺たち全員の魔力を重ねて、彼女を受け止めるんだ!」


術師達が手を取り合い、光の環を作る。


その環がルミナの身体を包み込み、暴走していた魔力が少しずつ鎮まっていく。


一方、フェリアの胸元には裂傷が走り、血が止まらなかった。


「このままじゃ・・・!」


焦燥が広がる中、ひとりの術師が躊躇なく自分の腕を裂き、血を魔術陣に滴らせる。


「命を繋ぐには、命を賭けるしかない・・・!」


血の魔術陣が浮かび上がり、フェリアの傷口に光が吸い込まれていく。


荒い呼吸が、次第に落ち着きを取り戻す。


「・・・声が・・・聞こえる・・・」


ルミナが微かに瞼を開いた。


その瞳の奥に、魔術師達の必死の声が響いていた。


まだ終わらせるな。


お前たちが未来を繋ぐんだ。


フェリアも苦しげに身を起こす。


「・・・ここで倒れたら・・・修練で学んだ全部を無駄にすることになる・・・」


二人の身体に、術師達の魔力が最後の炎のように流れ込む。


砕けた杖は光に包まれ、仮初の杖として再生し、


フェリアの魔法剣も赤々と燃え盛る。


術師達は膝を折り、息も絶え絶えになりながらも笑みを浮かべた。


「立ってくれ・・・頼む・・・」


「俺達の全ては・・・お前たちに預けた・・・!」


その思いを背負い、ルミナとフェリアはゆっくりと立ち上がる。


「ありがとう・・・必ず返す」


「今度は・・・私達の番だ!」


光と炎が戦場を覆い尽くし、絶望の空気を一瞬にして塗り替える。


イルシアが初めてわずかに目を細め、ガルロス=タートラの巨体が後退した。


いざ、反撃へ!!

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