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30.カイルVSヴァルド1

西門


瓦礫が散らばる街道。


ヴァルドは魔剣を肩に担ぎ、不敵に笑っていた。


「なるほど・・・小僧、さっきの一撃は悪くなかった。だがそれで終わりだ。」


カイルは杖を握りしめる。


頭の中では幾筋もの戦略が閃光のように走り抜ける、だが、速すぎる。


(速すぎて、ほとんど見えない)


次の瞬間。


ヴァルドが一歩踏み込み、完全に視界から消えた。


「・・・ッ!!」


背後からの斬撃、カイルは振り向きざまに結界を展開する。


ガギィィン!


火花を散らし、杖ごと身体が弾き飛ばされた。


結界は間一髪で耐えたが、腕に痺れが走る。


「ククッ・・・どうした?予言魔術を使って避けれないか?まあ身体が追いつかなきゃ意味がねえよな!」


ヴァルドの剣速は、カイルが例え予言魔術を行使して先を知っていても避けきれない。


「・・・それでも!」


カイルは息を整え、目を閉じた。


「師匠が託したこの力・・・無駄にはしない!」


轟音が木霊する。


カイルは両腕を広げ、五大元素の魔力を同時に走らせた。


「フレア・ランス!」


炎の槍が放たれる。


「アクア・シールド!」


同時に水の盾を前に展開。


ヴァルドが一閃。


炎槍は斬り裂かれ、盾は粉々に砕けた。


「おいおい、手数ばっかり増やしても意味ねぇぞ、小僧」


ヴァルドの剣筋は緩やかに見えるのに、重い衝撃が押し寄せる。


カイルは歯を食いしばり、次の詠唱に移る。


「ウィンド・バレット!」


無数の風弾が嵐のように降り注ぐ。


ヴァルドは軽く跳躍し、空を裂く。


「フンッ!」


剣から生じた斬撃の風圧だけで弾丸はかき消され、カイルの頬を切り裂いた。


「くっ・・・なら、これで!」


地面に手をかざす。


「アース・ランページ!」


大地が隆起し、石柱がヴァルドを囲むように伸び上がる。


「ほう、少しは考えるじゃねぇか。」


ヴァルドは愉快そうに笑い、剣を振り抜いた。


瞬間、石柱が粉砕され、破片が雨のように降り注ぐ。


カイルはさらに魔力を込める。


「サンダー・クラッシュ!」


雷光が大地を奔り、ヴァルドを直撃・・・したはずだった。


だが、光が散った瞬間、ヴァルドは既に目の前にいた。


「遅ぇ」


ガギィィン!


剣の一撃を辛うじて杖で受け止めたカイルは、膝をつく。


全身に痺れる衝撃。


それでも、崩れ落ちるわけにはいかない。


「・・・俺は、師匠の意志を継いだ・・・!ここで止まるわけにはいかないんだッ!」


ヴァルドは薄笑いを浮かべ、刃を引く。


「ククッ・・・その目は悪くねぇ。だがな、まだまだ、力が足りねぇよ。」


そして、再び剣を構えた。


その動きはまだ本気ではない。


だが、それだけで充分にカイルを追い詰めていた。


瓦礫に火花が散り、焦げた風が吹き荒れる。カイルは荒い息を吐きながら、杖を握り直す。


(このまま無策に攻撃し続けてもいつか魔力が・・・!)


対するヴァルドは、未だ涼しい顔のまま剣を肩に乗せていた。


「小僧、なかなか粘るじゃねぇか。けどよ、そろそろ一枚、格の違いってやつを教えてやる」


剣がゆっくりと上段に構えられた瞬間、空気が変わった。


殺気が重く、全身にのしかかる。


カイルの心臓が跳ねた。


(速い……いや、それ以上に……剣そのものが魔力で溢れてる!)


ヴァルドが一歩、踏み込む。


視界から消えた。


「ッ!」


反射的に《アース・ウォール》を展開する。


だが、次の瞬間には壁ごと吹き飛ばされ、カイルの身体が宙に舞った。


ドゴォォン――!


石畳に叩きつけられ、血が滲む。


立ち上がろうとするが、腕が震えて杖を支えるのがやっとだ。


「いいねぇ、悪くねぇ根性だ」


ヴァルドは嗤い、刃先を向ける。


「だがな、根性だけじゃ俺には一生届かねぇぞ」


カイルは歯を食いしばり、血で濡れた唇を拭った。


「・・・分かってるさ。俺は、まだまだ足りない・・・!でも、だからこそ、ここで立ち止まるわけにいかないんだ!」


必死に魔力を練り上げ、五大元素を同時に組み合わせる。


火と風で爆炎を、雷と水で電撃を、大地で拘束を。


「エレメンタル・ストーム!」


暴風と炎が渦を巻き、雷鳴が轟く。


一瞬、戦場そのものが荒れ狂う嵐と化した。


だが、その中心から、ヴァルドの低い声が響いた。


「面白ぇ・・・けどな、まだまだだ」


爆炎を斬り裂き、雷撃を弾き、土の束縛を踏み砕く。


彼の剣速は、荒れ狂う魔術すら“紙”のように切り裂いていく。


ズバァァァン!


嵐が霧散し、剣先がカイルの喉元に迫る。


「終わりだ」


カイルは息を呑む。


しかし、その瞳はまだ折れていなかった。


「・・・まだ、終わらせない」


震える身体で杖を突き出す。


その姿を見て、ヴァルドの口元が僅かに吊り上がった。


「ククッ・・・悪くねぇ眼だ。だが、その程度じゃ、まだ遊び足りねぇな」


地に膝をつき、荒い息を吐くカイル。全身は傷だらけ、しかも魔剣の効果で回復不能で、魔力も限界に近い。


だがその瞳には、まだ炎が残っていた。


「・・・まだ、やれる・・・! 俺は……負けない!」


彼は杖を強く握りしめ、魔力を練り上げる。


火、水、風、雷、大地。五大属性が再び渦を巻き始めた。


だが今度はただ同時に放つのではない。


それぞれを絡め、互いの性質を補完させ、まるで一つの生命体のように融合させていく。


「天地を統べし五元の調和、混ざり合いしは創世か、終焉か。いま我が意志に従い、破壊の大渦と化せ!!

エレメンタル・カタクリズム!」


轟音と共に、荒れ狂う五大元素の奔流がヴァルドへと襲い掛かる。


爆炎に包まれ、雷光が穿ち、暴風が切り裂き、大地が絡め取り・・・!


ドガアアアァァァンッ!!!


地平が抉れ、瓦礫が吹き飛ぶ。


一瞬、視界すら真白に染まった。


カイルは杖を支えに膝をつきながら、息を荒げる。


「・・・やった、か・・・?」


しかし、煙の中から、低い笑い声が響いた。


「ハッ・・・いいじゃねぇか・・・! 今のは、効いたぜ・・・!」


現れたヴァルドの身体には確かに深い傷が刻まれていた。


血が滴り、鎧は砕け、片腕は焦げている。


だが、その眼光は一層ぎらつき、口元は獰猛に吊り上がっていた。


「この俺に傷を負わせるとはな・・・!褒美に、本気を少し見せてやるよ」


剣を両手で構え、全身の魔力を一点に収束させる。


空気が震え、大地が悲鳴をあげた。


「剣技・虚無裂刃(アビス・レンディング)!」


刃が振り下ろされた瞬間、世界そのものが裂けるような衝撃が走る。


カイルは必死に障壁を展開したが・・・。


「ぐああああッ!!」


防ぎきれず、血を吐きながら地に叩きつけられた。


虫の息。


視界が霞み、杖を握る手が震える。それでも彼は、ゆっくりと立ち上がった。


「・・・俺は・・・まだ・・・負けてない・・・!」


ヴァルドの瞳に一瞬だけ、驚きが走る。


「俺の剣技に耐えるか……! だが次で終わりだ、小僧!」


とどめとばかりに、魔剣が閃く。


その軌道は速すぎて、もはや目には映らない。


しかしその時。


カイルの瞳が淡く輝いた。


時間が歪み、迫る剣の未来が“見えた”。


「ッ!」


無意識に身体が動く。


刃が首を裂くはずだった軌道を、紙一重で回避する。


風を切る音が耳元を掠めた。


ヴァルドの瞳が見開かれる。


「今のを・・・避けた、だと・・・!?」


カイル自身も、震えるように呟いた。


「・・・今のは・・・まさか・・・予言魔術・・・?」


窮地に追い込まれたカイル。土壇場で発動したのは予言魔術なのか・・・?

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