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3.いざ、新たな冒険へ

異世界に召喚されたライナはこの世界の魔王を討伐する決意をした。


そしてこの世界で自分がどれだけやれるか確認するために、ルミナに模擬戦を申し込んだ。


ー決闘場ー

「遠慮はいらないぞ。模擬戦って言ってるけど、俺を殺すつもりでこい」


ライナは鞘から抜き、剣を構える。


「分かりました」


杖を構えるルミナ。


「我が掌に集え、紅き理の原点。命を焦がす熱となれ――火球(ファイヤー・ボール)


杖の先端から球状の炎が放たれる。


「いい魔術だ、だが!!」


ライナは火球を剣の一振りでかき消した。


「なっ!!澄みし流れよ、我が呼び声に応じよ。形を成し、敵を貫け――水弾術(ウォーター・ブレット)


間髪入れず水弾を連続で放つ。


ライナは水弾を次々と弾き飛ばし、ルミナの懐に飛び込んだ。


「光よ、記録の海より現れ、私の前に壁を築け。――光盾術(ルクス・シールド)


光の壁がライナとルミナの間に現れライナの攻撃を弾いた。


ライナは一旦後ろに下がり体勢を立て直した。


「うん、魔術に関しては悪くない。色々な属性を使えるのも高評価だ」


「【魔術に関しては】って言う言い方に引っかかりますが・・・」


「あぁ、俺は模擬戦だけど殺すつもりでこいって言ったはずだ、こういう風に」


ライナはルミナの視界から消え、一次の瞬間、ルミナの首筋に剣を当てた。


ルミナは、その場から一歩も動けず冷や汗が出た。


「瞬間移動!?なんて考えてるだろ?今のは高速移動だ」


ライナは先程いた場所にまた一瞬で戻った。


その動きに観戦していた王様や衛兵、魔術師達は驚きを隠せなかった。


「ルミナほどの魔術師なら、この程度の動き造作もなくできると俺は思う」


「そんな動き私には・・・」


「できる!!魔力量だけなら俺の世界の魔王に匹敵するくらいだ。でも、圧倒的に実戦経験が少なすぎる」


「それは痛感しています・・・。私はこの国から出た事もなければ魔物との戦闘経験もそれほどありません・・・」


「おぉ・・・宝の持ち腐れだな。これだけの実力があるなら鍛錬次第ではいい線いくと思うんだけどな」


ライナは腕を組み何か考え事を始めた。


「よし、ルミナ。今できる最大の魔術を俺に撃ち込め」


「私の最大魔術・・・」


ルミナの体は小刻みに震えていた。


「ん?どうかしたか?」


「申し訳ありません。勇者様の頼みだとしてもそれはできません。」


「【ない】じゃなくて【できない】か・・・。制御できない感じか?」


ライナの問いにルミナは小さく頷いた。


「とりあえず、やってみてくれないか?ヤバいと思ったら本気で止めるからさ」


「でも・・・」


「俺はこの世界について何も知らない。だからルミナにも魔王討伐に同行してほしいって思ってる。そのためには現状の実力を把握しておきたいんだ」


「私が勇者様のお供に・・・。分かりました。勇者様を信じます」



ルミナは空中に飛びアーク・セレノスを頭上に振り上げて構え詠唱を始めた。


「記録されし星々よ、天より名を刻みて舞い降りろ。導きの光、我が意に応え、穿て――星刻の聖槍(アステリア・レイピア)!」


光が一点に収束し、巨大な魔力の槍が出来上がる。


「こいつは・・・」


ライナはニヤリとしながらも剣を力強く握り直した。


「避けて下さいね」


ルミナが言い終わると同時に超高速で魔力の槍がライナに襲い掛かる。


見ている者達はライナが避ける暇もなく直撃したかのように見えた。が、ライナは剣で魔力の槍を受け止めていた。


「こいつは想像以上だっ!!」


ライナは何とか弾き返そうとするが、ずるずると後ろに押されていく。


アステリア・レイピアは威力が弱まるどころか徐々に力が増していくのをライナは感じた。


「ああああああああ!!」


ルミナの魔力がどんどんアステリア・レイピアに流れ込み、更に巨大化していく。


「確かに制御できてないな。このままじゃ魔力を全て吸い取られる。魔力鋼化(フォース・エンハンス)!!」


ライナが唱えると体が青白く光り始めた。


「いくぞ!!閃光斬(せんこうざん)!!」


本当に僅かにライナの足が滑るように一歩引いた。


瞬間、光が一閃。アステリア・レイピアは真っ二つに切り裂け、消滅した。


光はルミナの横を通り過ぎていった。


ルミナは気を失い空中から落下してきた。


それをライナが受け止め抱き上げた。


「ルミナの実力は分かった。これからよろしくな」


気を失ってるルミナに声をかけ、抱き抱えたままライナは決闘場を後にした。


ルミナが目を覚ましたのは次の日だった。


「大丈夫か?」


顔を覗き込むライナにルミナは顔を赤らめて視線を逸らした。


「ゆ、ゆ、ゆ、ゆ、勇者様、顔が近いです」


「そっか、悪い」


ライナは何も気にしていない感じで離れた。


「私はいったい・・・っ!!」


ルミナは昨日の事を朧げながらも思い出した。


「いや〜、すごいな。アステリア・レイピア。ちょっとビビった」


ハハハハと笑いながら言うライナ。


「でも、制御が・・・。そのせいで周りの人達も危ない目に」


「確かに、俺がもし止められてなかったら、城もろとも吹き飛んでただろうな」


「申し訳ありません」


「謝る事じゃないさ。それだけルミナの力はすごいって事なんだから。まあ制御に関しては、旅をしながらできるようになればいいさ。俺が教えられる事はいくらでも教えるし」


「本当に私なんかでよろしいのでしょうか・・・」


「無理なら断ってくれてもいい。危険な旅だし、最悪死ぬ事もある。ルミナが断るなら王様に頼んで適当に冒険者を見繕ってもらう」


ルミナは死ぬという言葉を聞き、少しの間目を閉じ考えた。


そしてゆっくり目を開けライナの目を真っ直ぐ見た。


「行きます。私の力がお役に立てるのなら」


「うん、よろしく」


ライナは手を出した。


「よろしくお願いします」


ルミナはライナの手を握り握手した。


それから更に3日後、ルミナの体が完全回復した後、2人は出発の準備を整えた。


「よし、俺の方は準備万端。ルミナは?」


「はい、私も大丈夫です」


2人は王様への挨拶に向かった。


「陛下、これから我々は魔王討伐の為の旅に赴きます」


「重責を背負わせてしまう事を心から謝罪する。だが、この世界を救えるのは最早、貴殿しかおらぬ。何とぞ頼む」


「2回目なんで、お気になさらず」


ライナは笑みを浮かべた。


「ルミナ、勇者様をしっかりサポートするのだぞ」


「はい、陛下」


頭を下げるルミナ。


一通りの挨拶を終えた2人は旅の資金を貰い、城を後にし、城下町を通り門を出た。


広がるはライナの知らない未知の世界。


これからライナ、ルミナの冒険が始まる。

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