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20.帰還そして作成へ

神屍竜グラウ=ネザルとの死闘を制したライナ。素材を回収し終わった後、気が抜けたのかライナはその場に座り込んで動けなくなっていた。


「終ノ型を連発したからな・・・。こりゃあしばらく動けないな」


ライナは現状を受け入れ、無理に動こうとはしな買った。


虚無の裂け谷を覆っていた瘴気は神屍竜とライナの激突で全て吹き飛んで穏やかになり、空を見上げるとそこには綺麗な月がはっきり見えていた。


「魔物の気配も今はないし、しばらくここで休息だな・・・」


ライナは警戒はしつつも目を閉じ眠りについた。


「はっ!!」


次にライナが目覚めると太陽が昇っていた。


虚無の裂け谷は眠る前とほとんど変わらず穏やかだった。


「どれだけ寝てたんだ・・・。クソッ!!気を抜きすぎだろ俺」


ライナは立ち上がり自分の体を確認した。


「魔力は回復し切ってないがこれなら」


ライナは自分に簡単な回復魔術を施し傷を治した。


「よし‼︎さっさと帰って、剣を作ってもらうぞ‼︎」


ライナは虚無の裂け谷を上に上にと上がって行った。


虚無の裂け谷は死闘の爪痕が所々に散見され、あちこち地形が変わっていた。


ライナは入り口に辿り着き、最後に少し振り返りその場を後にした。


その後は新たな呼吸法などを駆使し、行った時より早くドボル王国へ戻れた。


ドボル王国に戻ったライナは早速、素材をバルドの所に持っていった。


ドボル王国の鍛冶場。


巨大な炉が唸りを上げ、鉄槌の音が鳴り響く。


「おう、無事戻ってきたか。三週間経っても帰って来んから、死んだかと思ってヒヤヒヤしたぞ」


バルドはライナの姿を見て安堵の表情を浮かべた。


「そんなに経ってたのか・・・。神屍竜と戦って勝った後、谷で眠ったから時間感覚分からなくなってたんだよな」


「グラウ=ネザルと戦っただと⁉︎あやつは遥か昔に死んだと伝承には‼︎」


バルドは驚き叫んだ。


「急に動き出して、驚いたんだぞ。勝てたから良かったけど」


ライナはぶつぶつ文句を言っていた。


(いやいや、その気になれば一国なんて一撃で滅ぼせる太古の魔物だぞ。そいつをこやつは逃げてきたんじゃなく戦ってあまつさえ勝っただと。どれだけ規格外なんだ、この男は)


「そんで、これ」


ライナが布に包んでいた素材を差し出すと、その場にいた鍛冶師達の空気が一変した。


「こ、これは・・・っ!」


バルドが、目を剥いて素材を凝視した。


「この禍々しさ。伝え聞く通り、神屍竜の素材だ。骨と鱗だけではなく核まであるとは」


バルドは素材を手に取りまじまじと見た。


そして核に触れた瞬間、バルドから生気が抜けた。すぐ離したので大事には至らなかった。


「紛うことなき本物だ。これは神屍竜の核」


バルドは恐怖と歓喜が同時に押し寄せ、体が震えていた。


バルドはライナを見据え、険しい顔で言う。


「人の戦士よ。お前の力に耐える剣は、この国の倉庫にも宝庫にも存在せぬ……だが、この核なら話は別だ。鍛え上げれば、世界に二つとない剣となるだろう」


鍛冶場にいた他のドワーフ達も、一人、また一人と頷く。


しかしその眼差しは、恐れと期待の入り混じったものだった。


「だが覚えておけ」


バルドは槌を握り締め、声を低めた。


「こいつはただの素材ではない。竜の魂が眠る生きた結晶だ。お前の力を受け止めると同時にお前を試すだろう」


ライナは核を見下ろし、わずかに口元を歪める。


「だろうな。こいつからは俺への憎悪がビンビンに伝わってくる。望むところだ。それくらいの気概がないと俺に相応しい剣じゃねぇ」


鍛冶場の熱気がさらに高まり、ドワーフ達は決意を固めていった。


轟音と熱風が、ドボル王国の鍛冶場を満たしていた。


神屍竜の素材を炉の中で溶かし合わせ、そこに核を打ち込む。常の鉄では到底扱えぬ異質の素材。


バルドが、額の汗を拭いながら叫ぶ。


「力を貸せッ! こいつは一本の剣に収めるにはあまりに荒ぶる!お前さんの魔力で核を鎮めろ・・・名前は⁉︎」


「ライナだ。てか今更聞くのかよ。バルド」


ライナは苦笑いしながら前に進み、手を炉の上に翳す。


核からあふれ出す死と生の力が暴走しかけ、鍛冶場全体を震わせた。


だがライナは呼吸を整え、自らの魔力を流し込む――その瞬間、暴れ狂っていた核が不思議と静まり、素材が一体となって形を変えていく。


「応えてる・・・!まるでお前さんを選んでいるかのように・・・!」


鍛冶師が驚愕を隠せない。


「本当か?もっと抵抗してくれてもいいんだぜ?神屍竜」


ライナは更に魔力を流し込む。


金床に置かれた素材は、まるで竜の咆哮が響くかのように唸りを上げ、槌を打つごとに火花を散らした。赤く、青く、そして星のように白い光を帯びながら、一本の剣が姿を現していく。


最後の一打が響いた瞬間、炉の炎が吹き上がり、鍛冶場を神々しい輝きが包んだ。


バルドや他のドワーフ達は槌を置き、荒い息をつきながら呟く。


「完成だ・・・名を付けるのは、お前の役目だろう、ライナ。」


ライナは両手で剣を受け取り、静かに目を閉じる。


冷たいのに温かい、不思議な鼓動が手に伝わってきた。


それは神屍竜の魂が眠っている証。同時に、自らの力を受け入れる器となった証。


「おい、中にいるんだろ?返事しろ」


ライナは剣を見て話しかけた。


バルドはライナの行動に驚いた。


「ライナ、お前さん何を言って・・・っ‼︎」


その時、剣がドクンと鼓動を打ったのをその場の全員が感じ取った。


『くっくっく、よく我の存在に気付いたな』


「何だこの声は」


バルドや他のドワーフ達が周りを見渡した。


「そんだけ敵意剥き出しにしてて、よく言うぜ神屍竜グラウ=ネザル」


「「「「!!!!!」」」」


ドワーフ達は一斉に剣を見た。


「核に魂を移して難を逃れたな?今更何の用だ?」


『決まっておろう。貴様への復讐だ。まずは我の肉体を滅ぼしたその体をいただこうか』


剣から黒い魔力がライナに流れ込む。


周りは慌てるが、ライナは落ち着いていた。


「負けた分際で偉そうにすんなよ」


ライナは黒い魔力を打ち消した。


『は?』


グラウ=ネザルは何が起こったか分からなかった。


「てか、『見事だ、人の子よ・・・』とかカッコつけながら消えたくせに未練がましくまた現れるってカッコ悪っ‼︎」


ライナはニヤニヤしながら剣を見ていた。


『黙れっ小僧!!我は見事だと褒めただけで負けは認めておらぬ』


ライナ達の頭にグラウ=ネザルの声が響く。


「はいはい、負け惜しみ負け惜しみ」


ライナは相手にせず剣を上に掲げる。


『我を愚弄するとは許さんぞ‼︎聞いておるのか、おい‼︎』


そのやり取りにバルド達は苦笑いしてた。


「う〜ん・・・。お前の名前は神竜剣グラネシス」


『勝手に名を変えるな‼︎我は崇高なる魔物、神屍竜グラウ=ネザルだ』


「でもお前はもう剣に生まれ変わったし屍じゃない。違うか?」


ライナの問いにグラウ=ネザルは黙った。


「剣の名前はグラネシス。お前はこれからもグラウ=ネザルでいいよ。不服か?」


『・・・いつでも貴様の体をいただく機会をうかがっておるぞ。努努油断するなよ小僧』


「上等だ」


神竜剣はそれっきり静かになった。


「一時はどうなるかと思ったが無事済んで良かった」


バルドがライナに近づき腰を叩いた。


「悪い」


ライナはこうして新たな剣、神竜剣グラネシスを手に入れたのだった。

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