騎士の誇りと女の子
俺は今、後悔してる。
ついさっき魔族領の端にある魔獣がたくさん出る森に俺は捨てられた。食料も武器も何も持たずに森へ入ると急にあたりが紫色になって、血の香りがしたからそこへ向かったら、そしたらかわいい女の子が、銀のこん棒を持ったでかいゴブリンに襲われていて、困っている人がいたら迷わず助けに向かうってのが騎士の時の役目だったから、俺は飛び出して、手を広げて女の子を守るようにでかゴブリンを威嚇した。
「あん?そいつは俺の獲物だよ。邪魔すんじゃねぇよ。」
ゴブリンはそう言った。正直行ってここで逃げたほうがいいのは誰にでもわかる。なんせ俺はこのでかゴブリンに勝つすべがない。しかも、こいつは言葉を話せるから、知能はかなり高いほうだろう。だけどここで引き下がることはできない。ここで逃げても俺はそのうち死ぬ。ならば最後に女の子を助けて死んだら来世は少し優遇されるんじゃないか。
そんな事を考えていると
「げ!?なんで人族がここにいるの?ていうか、あんた腕が一本ないじゃない!?こんなとこで何してるの!?」
なんかゴブリンも女の子もいろいろ言ってる。
だけどそんなことは関係ない。それより、非常にまずい状況。このままだと2人ともゴブリンに殺される。
てかこの女の子今俺のこと人族って言ったな。この女の子人間じゃないのか?いや、そんなこと考えてる暇はない。どうしよう。
「ええい!うるさい小娘が!お前のとこの糞魔王に俺たちはどんな扱いを受けていることか!ここで死ねぇー!」
ゴブリンはそういって俺に向かってこん棒を振り下ろしてる。
え?今の流れで俺なのかよ。まぁいいや。いやよくねえよ。死ぬぞ!?
とたんに恐怖が混み上がってきた。嫌だ。死にたくねえ。
俺は瞬時に女の子が持っていた盾を左手に持ち、攻撃を防いだ。すると、
ポワ~~~~~ン
ん?なんだこれ?
盾が光輝き初めて、俺の手にフィットした。
なんか覚えてる。この感覚。このフィット感。
そうだ。あれだ。これは神剣を国王からもらった時のあの感覚だ。
もしかするとこれはなんかすごい盾なのかも知れないな。
「あ、ありえないわ。なんであんたが、人族がそれを使いこなせるの?あんたもしかして、人族じゃない?」
いやバリバリ人間じゃ
「ほう。よく防いだな。だが、どうやって盾一つで俺を倒すんだ?」
そうなんだよなぁ。この盾がどんなに強くても、盾に攻撃力何てないのよ。
「もういいわ、わかんないけど、あんた気に入った。だから教えるけどその盾には攻撃する手段があるの。」
いやあるのかよ。俺の常識が今覆された。
「それは、模写の盾って言うの。魔王国にある数少ない神器の一つよ!」
ん?ん?魔王国にある神器をなんで持ってんだ?まぁいっか。とりあえずこいつぶっ倒さないと。
「ど、どう使うんだ?」
「わかんない!!」
は?ほう。ん?こいつ・・・バカだな。
俺はその時確信した。
でかゴブリンを倒す唯一の希望が今消えました。終わりました。
「とりあえず時間稼いでほしい!あたしの魔力溜めが終わったら結構でかい魔法がうてるから!!」
おぉ!魔法が使えるのか。これはもしや助かるかもしれないな。
「わかった・・・一応わかった。どんぐらい稼げばいい?」
「んー?5日くらい??」
駄目だこいつ。終わりだよ。でもなんだろう近づいてみてわかったけど、この女の子結構凄腕の魔法使いだ。
「お前、ちなみにどっちなんだ?」
「え?女だよ。え!?そんなに男っぽく見えてる!?」
んー今のは俺の聞き方が悪かったか。
「違う違う、人族かそれ以外かってこと。」
「あー、あたしはねー魔族だねー魔王の娘だねー」
こいつ今の自分の状況わかってんのか?
・・・・・・魔王の娘!!?
ちょ、ちょっと待てよ。でかゴブリンと協力して、こいつ倒して、ゴブリンは俺のことそんな悪くおもってなさそうだから、いい感じに和解すればいんじゃね!?
いや、駄目だ。それはない。流石にな。
「おい、名前なんて言うんだ?」
「・・・え?あたし?」
ゴブリンと協力するのも悪くないかもしれない。
「いや、ゴブリンに名前聞かないだろ。他に誰がいんだよ。」
「確かに!それもそうね。・・・え?なんで急に名前なんて。もしかしてあんた私のストーカー?」
いやこの状況!!そんなわけないだろ!!
森でゴブリンに襲われている少女を助ける俺がストーカーとか、酷い話ったらありゃしない。しかしその森は魔族領。いないはずの人族が急に飛び出して助ける。しかし男は何も持っていない。急に名前を聞く。
あれ?俺ちょっと怪しいのか?
「まぁいいわよ!あたしの名前は、ロリルレ・キス・アライブ。ね!名前を聞いたら私が魔王の娘だってわかるでしょ!!ふふん。」
この子ちょっと可愛いかもな。あ、いやいや違う違う。てかロリルレってどっかで聞いたことあるな。ん?あの病院の、、、
「お〜い。そろそろ殺していいかい?おふたかたさんよぉ〜」
まずいな。フゥー。まずい。
テンパってるのか頭が全く回んない。さっきからまずいを連呼してる。
「おい!ロリルレ。俺がとりあえずいろいろやってみるからその魔力溜めってのやっとけ!」
「あんたねぇ〜あたしのこと呼び捨てにしたこといつか後悔させてやるんだから。」
そう言うとロリルレなんとかは目を瞑って両手を合わせた。俺には何をしてるのかさっぱりわかんないけどたぶん魔力溜めをしてるんだろう。
「いつまで耐えれるかな?」
そっから俺とゴブリンの激戦が始まる。一方的にゴブリンが俺を殴ってるだけなんですけど。
ー1時間後。
「ふぅ、ふぅま、まさかこんだけ耐えるとはな。」
どうやら先に折れたのはゴブリンの方らしい。まぁそんだけ大きなこん棒を振り落とすだけでも結構体力使うんだろう。
俺は元々近衛騎士団という事もあって体力には結構自信があるからあんまし疲れてない。
「あんた、思ったりよくやるわね。」
ロリルレなんとかの声が聞こえて来た。
「まぁな。それよりそっちの調子はどうだ?」
「んーと、途中で寝ちゃってたからまた1から溜め直すわ。」
やばい。まじでキレそう。
「お前死にたいのか?今がどんな状況かわかってんのか?」
「え?うん。わかってるわよ。・・・わかってるわよ!!」
「わかってねぇだろ!今からあのこん棒に叩き潰されて死ぬかもしれないんだぞ!」
「あー、あたし、生まれつき体に極度の再生術がついてるみたいで、あの程度であたしを傷つけるなんて不可能なのよ。」
「は?じゃあなんでゴブリン相手にあんな怖がってたんだ?」
そうだ。確かにこの子は、俺が見たとき、ゴブリンに怯えながら落ちている木の棒を振っていた。それなのに今になって再生術があるから死なない?なんかのデタラメに違いない。
「え?だって。怖いじゃん。ゴブリンとか。」
ロリルレなんとかが真顔で言い放ったその言葉に俺はキレた。何かがプツンと。
確かにロリルレなんとかが言ってることは正しいのかもしれない。だが俺はキレた。
その時だった。盾が赤く光始めた。
「忌々しいこわっぱども、死ねぇ〜〜〜!!」
俺はその攻撃を盾で防いだ。
こん棒とゴブリンが砕け散った。