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序章 男は小鬼《ゴブリン》に転生する
「…うっ……」
頭がぼんやりとする。
まるで1日中眠っていたみたいに頭が働かない。
「ここは…どこだ?」
俺は現状を確認するために体を起こし周囲を見渡す。
暗くて広さは判然としないが、どうやら洞窟で横になっていたらしい。
「っ…どうりで背中が痛いわけだよ…」
(じめじめしてるし…身体も自分の体じゃないみたいだ)
岩肌に直接横になっていたためか身体中がばっきばっきになっていた。
俺は身体を伸ばすために軽くストレッチをしようと立つ。
(あれ?俺こんなに背小さかったけか?)
物凄く違和感があり、俺は自分の身体を確かめる。
「……って何だこりゃ!!!」
肌は緑色に変色し、手足も矮小。おまけに爪が長くなっていた。
「えっ?何?ドユコト?」
頭は大混乱だ。
それもそうだろう、だってこの姿は…
「えっ?俺……小鬼になってる!?」
それはまさしく、昨今の作品で最弱として有名で醜悪な小鬼そのものであった。
「確か…俺は……」
そうして俺は、何とか変わり果ててしまう前のことを思い出すのであった。