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『トワの放課後お悩み聴かせて教室』オープン



「よっしゃー!今日から『トワの放課後お悩み聴かせて教室』始めるぞー!」


 昨日大掃除した4階の空き教室。その真ん中で、私は一人拳をあげて「おー!」と声をあげた。


「朝早く学校に来て、宣伝ポスターをあっちこっちに貼ったし、宣伝の紙もけっこう配ったし。ん~…でも、始める前に既に長蛇の列ができてる─とか想像してたけど…誰も来てない。まあ、もう少ししたら来るでしょ」


 そう独り言を言いながら、暇なので教室の掃除をする。



 1時間後。


 2時間後。


 そして…



「誰も来ねぇ…」


 部活動生が部活を終え、片づけして帰っていくのが窓から見える。机に突っ伏し、大きな溜め息を吐いていると、廊下から華乃と亜衣奈の話し声が聞こえてきて。


「とわ~!どう?誰かき─…」


 ガラッとドアが開き、華乃の元気いっぱいの声が教室内に響いた。が、私が死んだように机に伏せている姿を見て察したのか「あぁ~…」と、華乃と亜衣奈が言った。


「あちゃ~…誰も来なかったの、とわ~」

「ひとりもこない…」

「ドンマイ、永久ちゃん。私のおっぱいに顔埋めなよ」


 そう言って亜衣奈は、私の顔を胸に抱き寄せた。ふにゅんとしたやわらかい亜衣奈のおっぱいが私のこころを癒す。


「ふぅ…ありがと、亜衣奈」


 亜衣奈のやわらかい谷間で、顔をスリスリパフパフと頬擦りする。そうしていると、自然に両手が亜衣奈のやわらかい2房に伸び──…

 

「どさくさに紛れて、アイの乳揉もうとするな!」

「イッッタ!!!」


 華乃の硬い拳がドゴッ!と、私の頭頂部に降ってきた。


「はぁ~…それにしても、全く来ないなんて~…」

「まあ、1日目だしね。今日始まったばかりだし、みんな遠くから様子見てる感じじゃないかな?」


 と、華乃が言い。


「そうだよ!明日はいっぱい来るよ、きっと!」


 と、亜衣奈も言ってくれた。


「そうかな~?明日は誰か来るかな?」

「大丈夫来るって!そう落ち込むなよ!」


 そう言いながら、華乃は私の背中をバチィン!!と平手で思いきり叩いた。


「いったぁ!!痛いよ華乃~」

「悪い悪い。ま、今日はとりあえず帰ろうぜ」


 と言って、華乃は肩を組んできた。


「…そうだね、明日は誰か来るよね。大丈夫大丈夫!」



◈◈◈



 次の日。放課後。



「…今日も誰も来ない…」


 帰りのホームルームを終えて、すぐにこの4階の教室に来て早1時間半…誰も来ない。


「…いやまあ、本当は誰も来ない方が良いのかもだけど。ここに来るってことは、悩みや不安があるってことだもんね。ただ─…」


 負霧が出てる人は、この学校内でも結構居る。生徒にそして、教師も。教師はさすがにこんなところに来ないかもしれないけど、生徒ならって思った…けど。


「うーん、ダメかぁ」


 少しでも、誰かのこころの重いものを軽くできたらなって思ったけど…安易だったかな。そう思いながら溜め息を吐いていた時だった。


「こんちわ~なんかぁ、グチ聴いてくれる?とかあったけど、いい~?」


 教室のドアが開き、ギャルっぽい女子が聴いてきた。


「こ、こんにちは!どうぞ、グチや誰かに言いたいけど言えない胸の内のものとか、なんでもどうぞ!」


 そう言いながら、私は入り口から一番近い方の椅子を引き「ここどうぞ!」と誘導すると、ギャル風の女子は教室に入ってきて「さんきゅ」と言ってその席に座った。そのギャル風女子が席に座ると、私はその女子の向かいの席に座った。

 ギャル風女子はすぐには話し始めず、スマホをいじって少しして。


「何でもいいんだよね?彼ピの話しでもいい?」

「はい、どうぞ!」


 と、私が言うと。


「う~ん、まあグチなんだけどさ~」

「はい」

「彼ピチョーカッコよくて、チョー大好きなんだけどさ~…なんつーか、エッチがめっちゃ下手でさ~」

「エッ?は、はぁ…」

○○○(ピー)○○○(ピー)するけど、めっちゃ痛いっつーか、キモい?つーか」

「え、は、はぁ~…なる、ほど……」

「私も○○○(ピー)して○○○(ピー)○○○(ピー)を──」

「ハイ…………」

「…………」

「……」



◈◈◈



「話し聴いてくれてさんきゅ!こんなことダチらに話せないからさ、話せてスッキリしたわ!って、もしかしてこれ、お金払う系?」

「あ…いや、お金は要りませんよ。スッキリしたなら幸いです」

「じゃ、また何かあったらよろ~」

「はい……」


 ギャル風女子が教室のドアを開けた瞬間、彼女のスマホが鳴った。


「あ、もし~ミクゥ?ああそうそう、変なチラシの相談所?的なとこ~。そうそう、タオとのエッチの話し~。タオの○○○(ピー)がヤバくて~…」


(…いや、めっちゃ友達?にも話してんじゃん。私に言わなくても別にいいのでは…?)


 ギャル風女子は私に話していたことを、スマホ向こうの友達にそのまま話しながら教室から出た。

 ギャル風女子が去っていくと。


「どはぁー!」


 と、私は机に突っ伏し、思いきり溜め息を吐いた。彼氏すらまだできたこと無いのに、あんなエッ…チな話されても…


(ナニをナニするってナニーーー!?)


 机に伏せながら頭を抱え、内心でそう叫んだ。すると。



 コンコン。ガラガラガラ───



 ノック音とドアが開く音が聞こえ、頭を上げる。そこには、男子が一人立っていた。


「今いいかな?」

「は、はい、いいですよ」


 と私が言うと、男子は教室に入ってきて、さっきギャル風の女子が座っていた席に座った。


「えと、何かグチとか誰かに言いたくても言えないこととかを聴かせていただいてますが~…何かありますか?」


 と、私はその男子に聴く。が、男子は何も言わずに、組んだ手の上に顎を乗せて、私のことをじっと見つめていた。


「あの…何か話しに来たんじゃないんですか?」


 と、私が聴くと。


「ふふ…そうだね、俺は君に何をハナシに来たかわかるかい?」

「え?さあ……?」

「君可愛いからさ、今日から君を俺の彼女にしてあげようと思ってさ、ト~ワ♡」

「…は?」


 男子はそう言うと、パチンとウィンクした。その瞬間、ゾワゾワと私の全身に寒気が走り、鳥肌が立った。




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