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25日目、初めてのお散歩

◯月×日


今日、クロが初めて家から出て、庭を散歩した。


きっかけはシロだった。


カリカリと窓を引っ掻くシロ。


止めさせようとしたら、無言で庭を見て、次にクロを見る。


落ち着かない様子のクロの頭を舐めて、体ごと窓の方に押しやる。


ニャーン


キューン…


まるで初めてのおつかいを怖がる子供に、大丈夫だからと言い聞かせて行かせようとする親のように見えた。


少し前に外に出そうとしてクロを怖がらせてしまったのを思い出す。


まだ早いでしょ!と非難の眼差しを向けていたシロが、今はクロを外に出そうとしてる。


つまり、そういう事なのかな。


窓の外を見る。


猫の額ほどの庭には空のプランターがいくつかあるだけ。


ブロック塀に囲まれていて、鳥以外は外から他の生き物は入ってこれない。


買うだけ買って、付けてなかった首輪とリードを念のため取り付ける。


万が一にもロストしないために。


クロを優しく抱き上げる。


不安そうにしがみ付くクロ。


爪が食い込んで少しだけ痛いけれど、それだけクロも怖いんだね。


できるなら一生安全な室内で過ごさせてあげたい。


でもドラゴンはどんなに体の小さい種類でも、ずっと狭い空間にいるとストレスを感じてしまうらしい。


家はそんなに広くない。


小型でもドラゴンが満足できるだけ家の中で自由に走り回らせたり、飛ばせたりはできない。


ドラゴンは外を散歩したり、広い空間で運動しないとストレスを感じてしまう。


人が人以外と共に生きるってことは、その生き物にとって必要な環境を整える義務を負うってこと。


例え可哀想だと思うことでも、やらないといけないことも沢山あるし、我慢しないといけないことだってある。


例えば予防接種とかね。


その子が嫌がることでも、必要なことがある。


だから…


クロに優しく声をかけて、何度も何度も撫でて、ゆっくり慣らして。


ほんの数歩。


たったそれだけ。


それだけだけど、クロは庭を歩いた。


散歩と言うには短いし、敷地内だけど。


この数歩は、私たちにとってとても重要な数歩になった。

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