1日目、トカゲを拾った。
◯月×日
道端にトカゲが捨てられていた。
雨の中、濡れたダンボールに入れられて。
大きさは、だいたい20センチくらい。
色は全身真っ黒で、弱っているようだった。
ダンボールの中にはご飯と思しきものと、タオルが一枚だけ敷いてあった。
ダンボールにはマジックで一言「拾ってください」とだけ。
小雨だけど、ダンボールも中身も濡れて、トカゲは冷えて動けなくなってた。
思わず傘をさしてない方の手ですくいあげた。
冷たくて、小さくて、だけどまだ生きてる。
手のひらで、トカゲの呼吸を感じた。
少し悩んで、ハンカチで包んで持ち帰る。
あと少しでも放っておいたら、寒さで死んでしまっていたかもしれない。
かわいそうに。
家に帰って改めてタオルに包んでやる。
とりあえず家にあったダンボールにバスタオルを詰めて、使い捨てのホッカイロを入れて温めてみた。
しばらく様子を見ていたけれど、暑がる様子も苦しむ様子もないし、落ち着いている。
目を覚まして、トカゲはゆっくりと部屋を見渡していた。
目は金色で、結構愛嬌のある顔をしてる。
ほっと息をついた。
ご飯は飼ってる猫のエサをあげようと思ったけど、調べてみたら脂肪分が高いからダメみたい。
基本的に生きてる虫とかのがいいみたいだけど、さすがに…
試しにササミを小さく切って与えてみたら、意外と食いつきがよかった。
猫用の無添加なやつだから大丈夫、なはず。
食べたら落ち着いたのか寝てしまった。
念の為飼い猫のシロとは別の部屋に分けておく。
どうかこのまま元気になってくれますように。