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ラブコメ初期作品

大好きな幼馴染と付き合いだした親友に唆された結果

作者: 青空のら
掲載日:2022/09/03

「昨日、ついに告白されたんだ!」


 喜びを隠そうとせずにはしゃいだ声で親友の夏樹が言う。

 こいつは控えめに言っても女の敵だ。はっきりした物言いに物怖じしない性格で男女共に人気がある。肩までのサラサラの髪にくりくりの眼、女の私から見ても確かに可愛い。

 そして私は彼女に告白しようとする男子から告白の仲介を頼まれる事がある。夏樹は本命以外には見向きもしないタイプなので、直接玉砕する者は当然の事、私経由での間接的な呼び出しですら即答でお断りを入れている。

 すると、まるで私がやっかみで橋渡しを断ってるようにとらえる男子もいて、吐き捨てられる台詞に嫌な気分になる事もしばしば。

というか、一人くらい私目的でも良くない?


「へえ、おめでとう!」

「ありがとう!!」

「まだ付き合っていなかった事、逆にびっくりしてるけどね」


 告白を素直に喜んでいるという事はベタ惚れの幼馴染春人で間違いないだろう。二人が付き合う事は不思議でも何でもない。

 幼馴染でほぼ毎日一緒にいて、休みの日も一緒にいて、たまに傍目にもイチャイチャしている。

 それで付き合っていない、って逆にどういう状態なんだ?幼馴染って万能なの?

 二人してイチャイチャしているシーンを見るたびに早くくっ付けば?と呆れて生暖かく見守っていた。というか、早くくっ付けとせっついてもいた。


「でへへ!!」

「はいはい、惚気でも聞かせに来たのかな?」

「そんな事言わずに聞いてよ」

「仕方ないな、購買部のメロンクリームパンで手を打つよ」


 確か、夏樹の幼馴染春人と言えば進学校であるうちの学校でも学年10位以内に入る秀才だ。それだけではなくて眼が良いのを活かしてボクシング部で活躍している。

 何度か夏樹に連れられて練習や試合を見学に行った事があるが圧巻だった。全部見えているかのように華麗に相手パンチを避け、捌いて、はたき落とし、避けられない攻撃はきちんとブロックしていた。

『頭を殴られて馬鹿になったら夏樹に勉強を教えられなくなる』

ディフェンスの上手さを新聞部に問われた時の回答である。

 ご馳走様、お腹いっぱいだよ、惚気は他所でやってくれ。


「昨日部屋に押し掛けてお色気攻撃したんだよ。そしたらそのまま告白されて、好きだって言われて、そしてね、結婚しようって言われたの」

「ぶふぉ!?」


 お色気攻撃という単語にも違和感あるけれど、結婚!?えっ?結婚???

 確かにその狂気、違う、凶器に近い胸を武器に殴り倒し、じゃないな、押し倒せば勝負には勝てそうだけれども……結婚!?


「どうしたの?」

「いや、どうもしないよ、おめでとう!」

「ありがとう!でね、結婚を誓い合ったという事で今は婚約者という立場じゃない?学校のみんなにも言った方が良いかな?」


 まてまて、何を言ってるのか理解出来ないぞ?あれ、頭おかしくなったかな?


「ちょっと待ってね、えっと……」


 他の女にちょっかい出されないように釘を刺す為にも婚約者だと公表する。世に言うバカップル、親公認なら婚約者と称するのも良いけれども、うちの学校は進学校……


「我が校は進学校だし、他生徒への影響を考えてあまり大っぴらにしない方が良いんじゃないかな?交際している彼氏、彼女という体なら学校もあまりうるさく言わないと思うよ?」


 結婚とか婚約まで発展しちゃうと健全な男女交際を飛び越えて、聖なる夜を連想しちゃっても仕方ないよ。

 私達思春期だからね?妄想大暴走待ったなしだよ!?


「そっか、仕方ないよね。彼女か、うふふふ。学校では彼氏彼女かぁ、うふふふ」

「そ、そうだね。う、羨ましいな!わたしもカレシできないかなぁ」

 完全に意識が空の彼方に飛んでいってる夏樹を前にして自分の声がどこか遠くから聞こえて来るようだった……、、


*********


 彼氏がいきなり誕生するわけもなければ、当然、幼馴染が突然誕生するわけもない。

隣の芝生は青い。よそ様を羨ましがってばかりいても仕方がないのだが。


「ほらそこ、間違ってるよ。問題を良く読んで」

「えっ、どこ?」

「ここの問3」

「ちょっと待って、もう一度最初から解くから」


 目の前にいるのは弟と同い年の冬彦。家が隣で家族ぐるみの付き合いがあり、自分の事を秋葉ねぇと慕ってくれている。とはいえ一つ歳下の弟分で男として見たことはない。

『秋葉ねぇと同じ高校に行くんだ!だから勉強を教えてよ!!』

と言われ押し切られるように受験勉強を見て以来、定期的に勉強会をしている。


「これで合ってる?」

「正解!でもこっちの公式を使う方が解くのは速いかな?」

「なるはど、さすがだね」


冬彦は素直に改めて違う公式を使って解いていく。


「ところで、学校で何かあった?」

「うん?平々凡々、いつもと変わらないよ」

「そうかな?秋葉ねぇ、さっきから何度もため息ついてたよ」

「あれ?うそ!無意識に出てた?」

「それで何があったの?」

「大した事じゃないよ。春人と夏樹がくっついたんだ」


 春人に憧れてボクシング部に入部した冬彦は春人も夏樹も良く知っている。


「えっ!?春人先輩と夏樹先輩が!?えっ?あの二人って付き合ってたんじゃなかったの?」

「本人達曰く、ただの幼馴染だったんだってさ」


 お互いが好意を抱いているだけ、って周り中にバレバレだったけどね。

 というか、相思相愛で付き合ってるようにしか見えなかった。


「春人先輩と夏樹先輩、どう見ても相思相愛でイチャイチャしてるように見えたけど」

「うんうん」


 朝夕仲良く登下校してる姿を見ると他の人間の入る余地無かったもんね。ほぼ全校生徒が目撃しているわけで。それでも玉砕覚悟で告白する勇者は絶えずいたわけで。

 私なんて告白なんてされた事なんて無いよ?もちろん、弟分の冬彦からのはカウントに入れていない。


「ため息をつくって事は羨ましいの、秋葉ねぇ?」

「うーん、どうだろね?羨ましいのかな?」

「じゃあさ、秋葉ねぇ、そろそろ本気で考えてくれない?」

「うん?何の話?」

「き、決まってるじゃん!俺の告白の返事だよ!!」

「ええ?またまた、本気じゃないでしょ?一時的な気の迷いだって!いつも言ってるけど、冬彦には同い年くらいの可愛い子が似合うよ」

「俺は秋葉ねぇがいいの!!」


 ここはズギュン!と心を撃ち抜かれるシーンなんだけど、長年姉貴ポジションで居るだけに『可愛い』と思ってしまう。

 残念ながらトキメキを感じない。弟にトキメキを感じないのと同じ感覚で。既に冬彦に対しての気持ちは家族と同様な物かもしれない。


「私のどこがいいの?」

「何度も言ってるけど、頭が良くて、優しくて、面倒見が良くて、とにかく容姿も性格も全てひっくるめて全部だよ!」

「そっか、ありがとう。でもね、私には冬彦が可愛い弟分にしか見えないから、付き合うとかそういう気持ちにはなれそうにないよ。ごめんね」


 学校で私の姿を見付ける度に猛ダッシュで駆けつけて来る姿は、子犬が尻尾を振ってる幻覚と重なって見える。どちらかと言うと懐いているという表現がぴったりだ。


「わかった。今は我慢する!でも俺が弟分を卒業した時は改めて交際する件を考えてくれよ!」

「じゃあ、楽しみに待ってるね」

「絶対だからな!俺は本気だから」


 はいはい、可愛い弟分の成長を見守るのも姉貴の務め。飽きるか、心変わりするか、可愛い彼女を作るまでは彼氏は諦めますか、トホホ。


*********


「えっ?幼馴染の冬彦君と付き合っていない!?嘘でしょ?」

「いや、本当だって」


 自分では気付かった変化を問い詰められ、冬彦からの告白を断ったと告げた途端に言われた。

 自分達の事を棚に上げて、幼馴染と付き合っていないのを嘘だと曰う夏樹。まさにどの口が言う、だ。


「一切好意はないの?」

「そりゃあるよ、可愛い弟分だもの」

「だったら付き合っても良かったんじゃないの?」

「夏樹はそんな感じで春人以外と付き合えた?」

「うぐ!確かに無理だけどさ」

「でしょう?」

「でもさ、勘違いしてるって事もあるんじゃないの?」

「勘違い?」

「そう、勘違い!」


 好き、嫌いに勘違いがある?


「例えばどんな?」

「向こうからの過剰な好意に対して当たり前だと思い込んで、麻痺してるとか?」


 事ある毎に『秋葉ねぇ!』と駆け寄って来る態度に私への好意を感じ取っていない、と言えば確かに嘘になる。


「騙されたと思って今から私の言う事に従ってみて!まず、目を閉じて想像してみて」


 夏樹の言葉に従い目を閉じる。


「向こうに冬彦君が見えます。秋葉に気付いたのにそのまま素通りしました」


 冬彦の癖に生意気だぞ。


「放課後、校門を出ようとしたらいつも後ろから追いかけて来る冬彦君が来ません。後ろを振り返ると同学年の可愛い子と話しながら下校しています」


……微笑ましいじゃないか。


「日曜日、勉強を教えて欲しいと押し掛けて来る冬彦君が来ません」


…………自由な時間があるって素敵だよね。


「今日で1週間冬彦君と口を聞いていません」


………………


「進学、就職と他県に引っ越すので顔を合わせるのは年末年始の帰省時位になります」


……………………弟分なら姉貴に会いに来なさいよ!


「ある日、結婚式の案内状が届きます。もちろん差出人は冬彦君です」


…………………………私の事を好きだって言ってた癖に!!


「ゆるさない……」

「えっ?」

「浮気なんて絶対に許さない!!」

「ふぇ!?」

「好きだって言ったんなら最後まで責任取れ!!」

「ちょっと、相手が違うから!!」


 はっと我に返ると夏樹の胸ぐらを掴んでいた。

 すまない気持ちで夏樹に視線を向けるとニヤニヤした笑みを浮かべている。


「それで冬彦君と付き合うのはやっぱり無理そうなの?」ニヤニヤ

「冬彦の癖に生意気だから!」

「生意気だから、どうなの?」ニヤニヤ

「責任を取らせる!」

「あらあら、ご愁傷様!間違っちゃった。おめでとう!!」ニヤニヤ


 逃げようと思っても逃さないんだから!!冬彦め覚悟しておけ!!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 微笑ましい
[良い点] あら素敵。 青春だわねぇ。 高校生女子と中学生男子の1〜2歳差のこの時期しか無いおねショタは尊いわ。 A君Bちゃんの幼馴染カップルも可愛いけど。 このシリーズ、短編で出さずに、いっそ…
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