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第一話 てんせい




神様


日本ではそれこそ八百万いるとされる存在


無宗派である俺はそんな物を一切信じちゃいない。いや、いなかったのだ……




遡ること1時間前……





「拓哉!大晦日なんだから掃除くらいしなさい!」


「はーい」


母に叱られ自分の部屋にあるフィギャアやら雑誌やらの片付けを余儀なくされる。


「ああ……俺のエミたん……」


自分の部屋には到底収まりきらないほどのラノベ、漫画、フィギュア、

それら全てを蔵に持っていくことにする。


「はぁ……しばらく会えないね、エミたん…」


自分の推しキャラであるエミたんのフィギャアにしばしのお別れを告げて段ボール箱に詰め込んだ。


「よし!コレで一通りは片付けたかな?蔵に持っていこう」


我が家は随分と広く古い。

庭には蔵があるくらいだ。

昔はそこにご先祖様が残した巻物やらなんやらが置かれていたそうだが、それらを売り払うと途端に物置として使われるようになり、今では主に俺のオタクグッズが置かれている。


蔵に入って電気をつけると埃だらけのポスターとフィギャアが見えた。


いくつか埃を払って新しく来た子達をおいていく。

母さんは捨てなさいと言っていたが捨てられるわけない。みんな俺の宝だ。


そうして運び終えた俺は蔵の奥の方に行ってみる


「そういえば、小さい頃よくここら辺で妹とかくれんぼしてたっけな……」


しばらく奥に行くと木彫りの熊を見つけた。


「懐かしいなぁ……」


昔の余韻に浸って熊を持ち上げると長年触ってなかったからか汚れが滑って落としてしまう。

その衝撃で木彫りの熊が割れてしまった。


「うわ!ど、どうしよう……」


……まぁ、大丈夫だよなどうせ誰も覚えてなさそうだったし……


破片を拾って捨てようとすると突然声が聞こえてきた。


「ふぅ、やっとここから出られた」


「誰だ!?」


「わしじゃ」


そう言われて後ろを振り返ってみると見知らぬお爺さんがいた。


「……いや、そんなご存知みたいに言われても俺あなたの事知らないんですけど」


「ええ!わしじゃよわし!皆んなご存知の!」


「だから知りませんって」


お爺さんはだいぶ残念そうな顔をすると仕方なく説明し始めた。


「仕方ないのぅ、わしが何者なのかお主に教えちゃるわい」


「いや、大丈夫です。ていうかここ俺の家なんで、警察呼びますよ?」


「待て待て待て!とりあえず聞いておくれ。わしはな貴様らのいうところの神様じゃ!」


……可哀想に、この歳で厨二病を発現させるとは


「厨二病じゃないわい!本物の神じゃ!」


え、今心を読んだ?


「おう、もちろん心くらい読めるとも」


「あの〜本当に読めるんですか?」


「そういうておるじゃろうて」


「じゃあ今俺が何考えてるのか分かりますか?」


「ふむ、『こいつの頭毛が一本もなくて可哀想だな……』か?凄いじゃろう?わしはなんでも出来……おい待て貴様殺されたいか?」


「おお!凄いですね。疑ってごめんなさい!」


「……まぁ、あの木彫りの熊の中から解放してくれたのじゃ、そこは許してやろう」


「なんで神様があんなのの中にいたのですか?」


「……500年前にな、とある木の中に入って寝ておったのじゃ。すると目が覚めたら木彫りの熊になっておった」

 

つまりなんだ?この神様は寝ている間に熊に加工されたって事か?

マヌケだなぁ……


「先ほどから失礼であろう?」


「……あの、心読むのやめてくれませんか?」


「まぁ、貴様は恩人じゃ。それくらいしてやろう」


おっ!コレで心の中でなら悪口言いまくれる!


「言っとくが、心の中で悪口言ったら貴様を熊の中に封印するからな?」


………


「それでじゃ、わしは元いた場所に帰るとするが、わしを解放してくれた貴様には礼としてなんでも一つ願いを叶えてやろう」


「まじすか!めっちゃ嬉しいっす!」


「ふぉっふぉっふぉっ、急に喜びおって……」


何が良いだろう。

やっぱお金?

それとも彼女?

いや、せっかく神様に頼むんだからどうせなら普通絶対に叶わないことを……


うん、まあ神様に頼めるとしたらって何度も思ったことがあった願いはある。

でも本当にそれで良いのか?

もっと他に……


「めんどくさいからあと5秒以内に決めよ。ごーおよーんさー……」


「うわぁぁぁ!い、異世界で転生させてください!」


「ふむ?異世界でてんせい。それがお主の願いか?」


「はい。他に何もいりません」


「そうか、では行くが良い!」


その瞬間俺の視界は真っ暗闇になり、意識だけがはっきりした中宙に漂うような感覚になった。





……………………………………………

…………………………

…………


いつになったら目が覚めるのだろう?

自分で言っておいて何だが、意識はあるのに目が開けられない。

ずっと暗いところにいる。


はぁ……転生……目が覚めるまで時間がかかりすぎじゃないかな?


もしかして胎児の状態からスタートとか?

それなら息も出来ないのも分かるが……

待てよ!ステータスとかそんな感じのやつないか?


ダメ元で念じてみる


ステータスこい!ステータスこい!


すると頭の中に情報が流れ込んできた。



名前 無し

種族 タルク

レベル 1


HP 10

パワー 1

防御  50

素早さ 1


特性


展性

耐熱(弱)



おお!本当に来た……

てことはもう異世界に転生してるのか?

いや、でも手足が無いし……まてよ、俺の周りにあるコレってもしかして土?

そういえば何かの本で読んだことがあったな……

タルクとか言う鉱物の中で最も柔らかい金属があるとか……

じゃあもしかしなくても俺って今鉱物?冗談でしょ?

何とか動こうと思ったらちょっとだけ動けた。

そして、少しだけだが光が見えてくる。

その光を頼りに前に出ると土の壁から這い出ることができた。

近くに鏡……は無かったが水溜りがある。

近寄って自分の見た目を確認するとそこには脆そうな石があった。


……どうやら異世界に転生ではなく、異世界で展性の石になってしまったようだ




お遊びで書いてみました。

人気があったら更新していくかも……

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― 新着の感想 ―
[良い点] 聞いたことの無い感じで面白そうですね [気になる点] 2作品同時展開すか? [一言] 頑張って下さい!
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