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声劇台本 オールスターズ

終点ですよ

作者: 鎌瀬 狗

こちらは男性2人の声劇台本になります。

アドリブや性別改変しても構いません。

駅員:♂ お客さんにウザ絡みされる人

お客:♂ お客さんにウザ絡みする人


駅員「お客さん、お客さん?終点ですよ、終点」


お客「へ?笑点?」


駅員「こっちは忙しくて笑えないんですよ終点です、終点」


お客「沸点?」


駅員「怒りの沸点ならとうに来てますよ、終点です!」


お客「寒天!」


駅員「私を指差してなに阿呆なこと言ってるんですか!終点です降りてください!」


お客「まぁまぁそんな固いこと言わずに俺の話を聞いてくれよ」


駅員「嫌ですよ」


お客「じゃあ降りねぇ」


駅員「鉄道警察呼びますよ」


お客「ちょっと、聞いてくれたら、すっっと、降りるからよ」


駅員「はぁ……じゃあ聞いたら降りてくれますか?」


お客「あったぼうよ!そんな人に迷惑になるようなこと、俺がする訳ねぇだろ?」


駅員「現在進行形でしてるんですよ」


お客「まぁまぁまぁまぁ」


駅員「私をなだめてる暇があったらとっとと話してください」


お客「この雰囲気じゃちょっと話しづらいな……あんた、酒持ってない?あとつまみも」


駅員「持ってる訳ないでしょ」


お客「ちっ、しょうがねぇなぁ……」


(お客、鞄を漁る。)


お客「ほら、缶ビール、これしかなくてごめんな」


駅員「仕事中に飲める訳ないでしょ」


お客「いいからいいから……(鞄を漁る)はい、本日もお疲れ様でした!かんぱぁぁい!」


駅員「ああああ、ちょっとお客さんなに晩酌始めてるんですか」


お客「くぅぅぅっ!今日も酒が美味い!」


駅員「帰ってからやってくださいよ……」


お客「でな、話ってのがさ俺の女房がおっ死んじまったんだよ」


駅員「はぁ……そうなんですか………って、ええええ!?ちょ、さらっとなんてこと言ってるんですか大変じゃないですか!」


お客「おうよ大変だよ、こんな時に大変じゃねぇなんて言えるやつはど畜生だね」


駅員「それで、貴方はこんなところでなにやってるんですか?」


お客「なにって、分かんだろ。酒飲んでつまみ食って、そんでもってあんたと話してんだよ」


駅員「そうじゃなくて、そんな家が大変な時に、貴方はこんな所でなにやってるんですか!」


お客「あぁ?うっせぇなそんなの俺の勝手だろ」


駅員「公共の場で勝手なことしないでください」


お客「真面目だねぇ、アンタ。そんなんじゃ嫁の貰い手居なくなるぞ?……ま、俺のは他界他界しちまったんだけどな!はははは!」


駅員「笑えないですし、私に嫁が居ないこととは関係ないでしょう」


お客「ほぉぅら、やっぱし居ねぇじゃねぇか」


駅員「やっぱり警察に連絡するか……」


お客「なんだよ、人が折角ジョークで和ませてやってんのに」


駅員「だったらめちゃくちゃ下手くそじゃないですか、ジョーク」


お客「あー白けた白けたあんたのせいだからな」


駅員「理不尽ですねぇ。それじゃあ、帰ってくださいよ」


お客「交通事故だったんだとさ」


駅員「なにが!?……あぁ、奥様が……」


お客「俺の女房はそれはもう愛想のなくて飯が不味くて家事もほとんどやらねぇデブで汚くて小遣いも寄越さねぇ酷い女房でな……なんか思い出したら腹が立ってきた…あんにゃろ帰ったら殺してやる」


駅員「だからお亡くなりになられたんでしょ?」


お客「ああ、そうだい」



お客「それでもな、俺にとっては最高の女だったんだよ。それを……それを……ッ!」


駅員「心中、お察しします」


お客「そうか、そうか、分かってくれるか。あんたいい奴だな、なんで結婚できないのか不思議なくらいだ」


駅員「一言余計ですよ」


お客「優しいあんたにゃ俺の秘密、教えてやるよ」


駅員「……なんですか?」


お客「実はな、今日、俺の女房を殺したやつに復讐しようと思ってんだ」


駅員「なっ!?そんな、やめてくださいよ。きっと奥様も望んでいません!」


お客「んなこと、分かってんだよ!それでもな、そうでもしなきゃ俺の腹ん中の虫が治ねぇんだよ!」


駅員「そうですか、因みに、目星は付いてるんですか?」


お客「あぁ」


駅員「それは……?」


お客「この電車だよ!」


駅員「は?」


お客「俺の女房はこの電車に轢かれて逝っちまったんだよ!」


駅員「先日の事故はお客様の奥様でしたか」


お客「そうだよ」


駅員「確か……線路に侵入してそのまま」


お客「あぁ、絶対許さねぇ」


駅員「いや、それ完全に自業自得じゃないですか」


お客「止まれなかったアンタらの責任だろうが」


駅員「んな、無茶苦茶な」


お客「だから俺はこうやって復讐してんだよ。後はこの空になった缶をあんたの頭に叩きつければ俺の復讐は終わりだ」


駅員「貴方相当無茶苦茶な事言ってるの分かってますか?」


お客「あぁっ!?うっせぇな、そんなの俺の勝手だろうが!」


駅員「勝手じゃないですよ、私の命がかかってるんですから」


お客「じゃあどうしたらいいってんだ!」


駅員「このまま帰って、踏切の所に花でも添えてあげたらいいじゃないですか」


お客「あんた、優しいんだな。甲斐ねぇくせに」


駅員「決めつけないでくださいよ!」


お客「はぁ……なんかあんたに色々話したらスッキリしたよ。ありがとな」


駅員「………じゃあ帰ってくれますか」


お客「いや、もう1つ話を聞いてくれ」


駅員「まだあるんですか」


お客「実はーーー」


お客、電話が鳴る


お客「もしもし?なんだよお前か、どうした?あ?酒買ってこいだ?お前、旦那をパシリかなんかと勘違いして……え、小遣い減らす?待ってくれよ!分かった、分かった買ってくっから!小遣いだけは、ありがとうございますありがとうございます、では切らせて頂きます」


電話を切る


駅員「今の、誰ですか?」


お客「誰って、俺の女房だ」


駅員「さっき奥様亡くなられたって」


お客「ありゃ全部デタラメだ。ここで酒が飲みたくて話を振ったんだよ」


駅員「は?」


お客「それじゃおつかい頼まれたから俺は帰るわ」


駅員「ちょっと、もう1つの話って何だったんですか」


お客「あぁ……実はな?俺、無賃乗車なんだよ」


駅員「さっさと降りろ!」

お読みいただきまして、ありがとうございました。

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