仲間という存在
「いたぞ!」
後ろから声がする。
驚いて振り向くと、もう看守の男はすぐ側まで来ていた。
心臓の鼓動が徐々に大きくなっていく。
もうダメだと思ったその時、誰かに肩をがっしりと捕まれた。
「!?」
外から僕を手助けしているようだ。
窓枠に膝をぶつけ、痛みが襲う。
それでも僕の体は止まらない。ただひたすら前へ前へ。
「ドスッ」
痛い。
なんとか外に出ることが出来た。
看守の男も窓から出ようとするが、身体が大きい為全く通れる気配がない。
そしてすぐさま僕を助けてくれた人を見た。
どうやら男のようだ。
「こっちだ。走れるか?」
僕はコクリと頷いた。
彼はその後迷うこと無くとある洞窟へと入って行った。
一体なぜ彼はここにいるのか、なぜ慣れているのか。色々な不安が僕の頭をいっぱいにし、敵なのではないかと考えてしまった。
それに気付いていたのか、彼の口からはこう放たれた。
「安心しろ。敵じゃない。仲間が必要だったから助けただけだ。」
それを聞いて少しばかりほっとした。
でもなぜこんな島に彼がいるのか気になり、聞いてしまった。
「俺もあそこから脱出したんだ。本島に帰る為に仲間が欲しかったんだ。」
これまで友達もいなく、友達だと思ったら裏切られてきた僕。
その言葉を信じるのは尺だが、今はただそれを信じるしかなかった。