不気味な男
手錠をされたまま、白く大きい建物へ連れていかれる。
高い塀に囲まれた場所で、周囲に血のような跡がある。脱獄をした人がここで殺られたのだろうか。
そう考えながらただ前へ進む。
自分の牢獄に収容され、専用の服を渡されると共に手錠が外された。
「着替えたら飯の時間だ。下の部屋に来い。」
そう言って警察官は下へ降りていった。
着替え終わって下に行くと、そこは食堂だった。
隅で警察官が手を招いている。
警察官の前に座り、大まかな話を聞いた。
ここでの食事の時間に起床、就寝時間。更に風呂の時間など。知らなくても良いような話をしてくれたが、実際にここで何をするかは教えてくれなかった。
食事は不味かった。
ただ胃に入れるのを目的としたような食事で、済ませるとすぐに部屋へ戻った。
だがすぐ呼び戻され、次に連れていかれたのは何も無い広い部屋。
中心には椅子がひとつあり、手足両方につけるであろう枷に、物凄い異臭。
この匂い、どこかで嗅いだことがある。
「血...!」
そう、ここは拷問部屋だった。
ここでは、午前と午後とでひたすら拷問をされるだけの場所だった。
オペをするような服装に身を包んだ男が入ってくると、まずは注射器を持ちニコリと笑う。
僕はここが本当の地獄だと感じた。