介入できない島
翌日、家にあった包丁を物色してカバンに入れた。
いつも登校中に見る景色に別れを告げ、決心した僕は教室へ向かう。
クラスメイトは僕が入ってきたことに気づくも誰一人として挨拶してこない。
少しして加藤さんが登校し、クラス全員が揃うとホームルームが始まった。
息をのみ、カバンの中に手を入れる。
そして右手に持った包丁でまずは隣を、次に前後。
数分後、クラス内は赤く染まり、声が消えた。
「異臭がする」と隣のクラスからも人が来るが、僕は何もしなかった。ただひたすら警察が来るのを待ったのだ。
「午前8:42。現行犯逮捕する。」
僕の手首には手錠がはめられ、パトカーに乗るよう指示された。
抵抗などする気もなく、取調べを受けると素直に正直に話した。
「昔から虐められていた。復讐だよ。悪いのは分かってる。」
「そんな気持ちで34人を!?ふざけるなっ!!」
そう、僕は裏切られた腹いせにクラスメイト全員を殺めたのだ。
「僕はまだ高校生だ。死刑にはならない。さぁ。どうする?ほら、どうすんだ?」
僕は警察官に言った。
だが警察官はそんな安い挑発には乗らず、少しまての一言。そう言うとどこかへ行ってしまった。
この後がどうなるのか分からないがもう自殺をしたことのある僕は死刑なんてそこまで怖くなかった。
「外の車に乗れ。」
1時間程して戻ってきた警察官。どうやらどこかへ連れていかれるようだ。
「お前は死なない。いや、死ねない。」
「....?」
「覚悟しておけよ?すぐに死にたくなる。」
車に乗るとアイマスクを渡された。
もちろん手錠はそのままで。
アイマスクを装着し、どこへ行くかわからないまま3時間が経過した。
ようやく目的地に着いたのかと思いきや、次は船に乗せられた。
どうやら海を越えるようだ。
「まだつかないの?」と警察官を煽るが、無反応。
呆れた僕は少しすると寝てしまった。
アイマスクが外される感覚が、僕の目を覚まさせた。
周りを見渡すと完全なる離島だった。
「おはよう、ここがお前の新しい家だ。」
僕はここがどこか分からず、警察官に聞いてみることにした。
「どこ?」
「政府や世間一般民は誰も知らない場所だよ。」
「法によって裁けない人間や、死刑以上の罰を与えるべき人間を隔離する島さ。」
今はまだ、あんな事になろうとは知る由もなかった。