片想い
愛が欲しいなら愛を注げばいい。
とある偉人が似たようなことを言っていた。
そして、本物の愛は飢えることによって気づくと。
身近にあった「愛」はふとした時に「最愛」に変わると。
僕は怖かった。
手を挙げて積み上げる地位なんて大したことは無いのでは。
こんな僕はどうやったら仲良くなれるんだろう。
どうやったら愛が貰えるんだろう。
学校から帰った僕は、風呂に入る時やご飯を食べる時、四六時中答えを探していた。
実の所、僕には両親がいない。
虐められるようになった原因はそこにあると言っても過言ではなかった。
何故なら父さんは闇金に借金を負う人間だったからだ。
結局自殺した時の保険金で返済はしたが、母は借金を背負ったことを知った途端僕を置いて遠くへ行ってしまった。
そこからおばさんに引き取られた訳だが、父さんが言っていた言葉は大事にしたいと思っていた。
「暴力で解決するのは弱い奴のやることだ。」
でも僕はクラスメイトに手を挙げたこの快感に飲み込まれそうだ。
結局僕は虐められるのが嫌で次の日も暴力を振っていた。
そしていつの間にか僕の周りには誰も虐めをする人はいなくなったが、近寄ってくる人もいなくなった。
違うんだ...僕は解決したかったんだ...
もう誰もいなくならないでください...
校舎裏で泣いていた僕は自分に失望していた。
暴力では解決はできても改善はしない。
「本当は優しいんでしょ?心を開いてみてよ。私、ずっと見てたんだよ?」
涙を拭い先を見ると、そこにはずっと好きだった女の子がいた。
彼女は加藤由奈さん。小学校の頃からの付き合いだがそこまで親しいわけじゃなかった。
ただ片想いをしていた女の子だった。今日までは。
「えっ、あの、なんで加藤さんが...?」
「本当は仲良くしたいんだよね?なら謝ろうよ。」
謝ったらまた虐められそうで怖かったが、加藤さんが言うならなんとかなりそうな気がた。