暴力を知らない人間
何の為に生きているのだろうと、ふと思ったことは無いだろうか。
趣味を楽しむ為、高い収入を得る為、美味しいご飯を食べる為、など人それぞれの「生きがい」を見つける事で生きていると実感が湧くのだろう。
しかし、それは本当にあなたの「生きがい」だろうか?
もし全く違う人生を歩んでいたら違った未来になるのは勿論、違った人格、違った感性になるのではないだろうか?
休み時間の終了を告げる鐘が鳴る。
僕は教室へ向かった。
恐る恐る中へ入ると、机の上には大きな「陰キャ」や「引きこもり」の文字。
他に花瓶に入った花が乗っていたりと酷い有様だった。
「誰がやったの...」
僕は周囲に問いかけた。
「え、吉野じゃん!なんできたの?」
後ろの席に座っているクラスのヒエラルキーのトップに位置する高倉という男だ。
「どうしちゃったの?学校になんか用?」
僕は訴えた。
「間違ってる!こんな学校は間違ってる!」
今は何故か怒りがこみ上げた。
昔は謝るだけで否定はしなかった。
でも、こんな性格だからダメなんだ。
やり返す事を覚えなければ、また同じ過去だ。
そう思った瞬間、僕の右腕は高倉の左の頬をグーで殴っていた。
「いってぇな!何すんだクソが!」
当然取っ組み合いになる。
が、僕は喧嘩が強かったみたいで高倉を一方的に痛めつけた。
彼は泣きながら外へ出ていき、僕は心の中がスッキリした。
人を殴る快感、これはたまらない。
親には殴らず言葉で解決しろと言われていたが、心の中にあった鎖がちぎれたような感覚だった。
今日から僕が、このクラスを仕切ろう。
僕が苦しめられてきた分を、連中に仕返してやろう。
「さぁ、次は僕の番だ。」