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もう一人いる

作者:

ああちくしょう、クリスマス前にスキーがしたいなんて言わなければよかった。

山頂に到着したと同時にふぶき始めた雪は勢いを増し続け、近くに山荘があるから避難しようという仲間の言葉に従い移動を続けて、どうにか山小屋にたどり着いた時には5m先の視界も不覚に陥っていた。

今夜はここに泊まることになるだろう。手狭ではないが、こう広いとたった4人ではかえって寒さを感じてしまう。


やれやれとんだ吹雪だ。

ちょうどいいところに山小屋があったから勝手に入ってしまったが、こんな吹雪ではやってくる人もいないだろう。少し休ませてもらって、明日には出ていくので勘弁してもらおう。


しばらく使ってなかったという割には綺麗な室内だ。

暖房は入らなかったが、非常用の発電機を動かせば明かりだけは確保できるかもしれない。


まさか人が来るとは。もしかして持ち主だろうか。

ああしまった、あの機械で明かりをつけられたらバレる。

とっさに電気を落としてしまった。


停電か、非常用電源も長く使ってなかったのだろう。仕方がない。

明かりもなく暖房もないと心細さと不安で頭の芯までしびれるように寒くなってくる。


服を着こんでいるが寒いものは寒い。


そうだ似たような状況で体を温める方法を聞いたことがある。

仲間に声をかけて試してみよう。


なんだなんだ、動き出したぞ。

なるほど全員でリレーをやるのか。ちょうどいい、私も混ぜてもらおう。

これだけ暗ければ誰が誰かも分からないだろう。


はっはっは、体が温まってきた。これはいいアイデアだった。

しかし何か忘れている気がする


ほっほっほ、体が温まってきた。

このまま朝までバレずに時間を過ごすことが出来そうだ。


なんだったか、大事なことだった気がする。

この体の温め方はよくなかったような。


いいぞ、これなら体が温まり朝にはすぐに出られそうだ。


そうだ、このリレーは普通にやったらダメだったはずだ。

部屋の四隅を繋ぐには5人いないと成立しないはずなのに、俺たちは4人しかいない。

だというのにリレーは成立してしまっている。俺たちはいま誰とリレーをしているんだ。


大丈夫だ、バレてない。

このまま朝まで。


結局朝になってしまった。部屋の中には俺たち4人以外、誰もいない。

夜明けとともに吹雪は止んでいる。気味が悪いので荷物をまとめてさっさと山小屋を出よう。

こんなところには一分だって長くいたくは無い。


昨晩はあの若者達のおかげで助かった。

勝手に家の中に入ってしまったことは申し訳ないが、お礼を入れてきたので許してもらえるだろうか。


なんだこの包みは。こんなもの入れていなかったはずなのに。

中身は……おもちゃ?


ほっほっほっ

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― 新着の感想 ―
[良い点] おちが面白かったです。 ほっほっほ
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