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農民の娘。今日も早朝から叫ぶ

短いけど連載を開始します。10話以内の予定です。


「おはよう、自分!おはよう太陽!!そして、おはよう羊たち!!!」


私は今日も今日とて大地を踏みしめて、胸を張って空を見る。

これが私の毎朝の日課だ。ちなみに、叫ぶ内容はその時の気分で決めている。


「今日も存分に肥え太るがいい!!」


「何やってんの、姉ちゃん」


後ろから弟の声が飛ぶ。朝ごはん食べれないだろうと、ぶつくさ言っているけど私の行動を妨げるには至らない。


「魔王ごっこ。雑草どもを根絶やしにせんとするため、世界という名の檻の中に下僕を使い我が家畜たちを解き放つのだっ!」


「姉ちゃん・・。そんな狂気に満ちた遊びしてないで、さっさと手伝ってよ。てか聞き流しそうになったけど下僕って俺のことだよね」


「分かってないなぁ。ラック。一日の始まりは元気が肝心なのよ。ウチには"始まりは元気よく、終わり良ければだいたいいける"って家訓があるのを知らないの」


「それ、夜に父ちゃんがお酒飲みながらドヤ顔かまして言ってたたわごとじゃん」


「お父さんのかっこつけたたわごとだろうが放屁だろうがなんだっていいのよ。前向きになれるいい言葉じゃない」


「父ちゃんの言葉って屁と同格なんだ。知らなかったよ」


父の存在を無視して一週間目。思春期真っ最中の姉にとっては、デリカシーが縊り殺されたような父から出る空気は上から出ようが下から出ようがくさいに変わりはない。弟は女性と生活していく上でデリカシーとエチケットは必須スキルだと学んでしまう。


「それに例え間違っていても、全部言い出しっぺのお父さんのせいにしちゃえばいいんだからどんどん使っちゃえばいいのよ」


「・・・姉ちゃん、小悪魔って知ってる?」


「知ってるわよ、それくらい。お母さんみたいな人のことでしょ」


「母さんに"小"はいらないと思う」


あの人こそ魔王だと言いたいのか。弟が女性を正しく認識できるように成長して、お姉ちゃんは嬉しいよ。


「それもそうね。てか、あんた手が止まってるわよ」


「ああっ、あいつらもうあんな所にっ!姉ちゃん、手伝って!」


「はーい」


そう言って、上の弟であるラックは逃げた羊を犬と一緒に追いかけて行ってしまった。


アリスとラックの早朝は、村の近くにある平原で羊達を柵で作ったうちの家専用の一角に放つところから始まる。

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