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内情管理は楽じゃない

青春などは存在しないことを断言しよう。

なぜならば、青春というものは人との繋がりによって生じるものであり、決して一人ではなし得ないからだ。

人とは元来争いによってその勝利を得てきた。勝者はその名の通り歴史の勝者となり、正しさを欲しいがままにする。争いなんてものは畢竟、利害やその他の権利関係の名のもとに作用するものである。だからそのようなものを人との繋がりとは言わない。結局人は一人で生きていかないといけないのだ。

繋がりなどは存在しない。だから青春は存在しないのだ。


つまり何が言いたいのかというと、



「内輪で楽しそうにやってるように見えるけど、結局おめーら何かの目的のために一緒にいるだけで、本当の友達じゃねーからな!!!!!」



突如として放たれた声。その声は紛れもない俺自身の声だった。

あれー?おっかしいなー。一人ただのうのうと妄想に走っていただけなのになぁ.......。

汗が止まらなかった。もちろんクラス内からの非難の目も止まらなかった。ってか絶賛注がれ中だった。


只今は昼休み、俺は一人教室の自分の席に座り趣味に没頭していた。

俺はものを書くのが好きだ。とりとめのない自分の主張をただ適当に連ねるだけでもとても楽しいのだ。

教室は喧騒に包まれていた。リア充グループがわいわいと追いかけっこをしたり、キャハハと笑いながら談笑をしていた。正直ウザかった。ってかホントうるさい、あとうるさい。


そんな彼らへの不満に俺の筆は乗りに乗った。ノリノリだった。止まることのない俺の指先の主張は、ついに口にまで到達し一気に言語化された。



やってしまった......というのが本音だが実はそこまで痛手ではない。

俺はカースト最下位、いわば底辺で誰とも交友関係を持っていない。だから失うものがなく俺こそ最強。

やっぱり友達を持つと人間強度が下がるからね!やっぱ俺天才だったのかもしてない。


ただ一つ懸念点を上げるならば.......。

めっちゃ恥ずかしぃ〜!!!!ぜってぇ変なやつだと思われたよやばい!!やばいよ!!これはどうする?

盛り返す策はあるか?いや、どうしてそんなものがあろうか!!思わず反語が出ちゃうくらい何にも得策がない!!だって擁護してくれる人なんていないものそりゃそうだ!!ガハハ!


いや本気で笑えないので俺は一つ名案を思いついた。

ズバリ、実は電話でした!!!作戦だ!

話は簡単だ。電話しているふりをする。以上! 短絡的な自分の頭に敬服!!


見られたら困るので手元にある文章をすべて持ち、ぎこちない動作で椅子から背を離した。

「あーもしもしぃ? うん、そうだよ!友達じゃねえよ!!」


なんの話をしているのか本当によくわからない繋ぎで誤魔化そうとした。

ああ、電話か、と納得した様子で他の奴らはそのまま会話に入り込んでいったが一人の少女だけが俺から目を離さなかった。ってか納得するのか、チョロいなあいつら。

でもやべぇ、バレたかも。いたたまれなくなったため俺は教室から避難することに決めた。

非難から避難なんて俺もギャグが上手くなったものだ。笑えねえよ。


ありったけの文章をかき集め俺は即座に教室を後にした。

あいつ友達いるのか的な視線も見え隠れしていたが、今更気にするようなこともない。まあ本当にいねえけど。


ただ一つ気がかりなのがあの少女だ。一体全体気づいてしまったのだろうか。

そんなことを考えて屋上へとやってきたら俺は恐ろしいことに気がついてしまったのだ。


「一枚......足りない.......」


なんと俺は、教室に一枚だけ、あの罵詈雑言ペーパーを残してきてしまったのだ。


「あ、俺終わったわ」


始まってすらいない高校生活の扉は、南京錠がかかり歪められ、一度として開くことを許されはしなかったのだ。前が見えねえ......。


そんな時、ふと屋上の扉が開く音がした。

「すいません.......」

と声がした。




そこに居たのは、紛れもないあの時視線が合った少女だった。




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