第9話 少女とマスター
今回も少し多めです。
~シャルル邸・書斎~
俺とミリアムは十四年前のことについて二人で盛り上がっていると、地下室に侵入者が入ったとマップに警告が出た。
その警告に俺は、まさかと思いミリアム連れて地下室へと向かった。
~シャルル邸・地下室への階段~
久しぶりに降りたこの階段は老朽化がとても進んでいた。その階段をなるべく体重をかけないように両足のつま先だけに風魔法でクッションを作り、衝撃を吸収させながら駆け下りた。
丁度半分の辺りに到達した時だった、耳が痛くなるような甲高い声の悲鳴が階下から聞こえてきた。その声を聞いた俺は、後ろにいたミリアムに振り向き、頷くとミリアムは自分の持っていた武器の上に乗った。
武器に乗るという事にわけがわからないかと思うが、言葉の通りミリアムは自分の大剣の上に乗っていた。そして、その大剣は俺の掛けている風魔法によって浮かんでいた。俺はいつも思うが、よくあの不安定な大剣の上でバランスを取れていることに驚いている。
そして、ミリアムは体のバランスを前に倒し、俺を抱え込んだ。俺は抱え込まれた瞬間、大剣の柄の部分から勢いよく風を噴き出すイメージで風魔法を詠唱した。
「風の力を司りし者達よ 汝の力を我に貸し与えよ! 『そよ風の爆風』!」
ちなみに俺の詠唱した文言は、前半の、与えよ! までがこの世界に満ちている精霊などにお願いをしていて、後半の、そよ風の爆風というのは使う呪文の名前のことだ。そして、風魔法の呪文には頭文字に、低級風魔法だとそよ風、中級風魔法だと強風、高級風魔法だと突風、といった様に強さを表す様になっている。
っと、そんなことを考えている場合では無かった! すぐそこまで地下室の扉が迫っていた。ミリアムは突然大剣の上から飛び降り、大剣を地下室に突入させた。その後、俺を地面へと下ろし、二人で地下室に入った。
~シャルル邸・地下室~
俺とミリアムが地下室へ入るとそこには、俺の息子と、ミリアムの大剣が床に転がっていた。一瞬、俺はミリアムの大剣が刺さったんかと思いヒヤッとしたが、息子からは血は出ていなかったので安心した。
しかし、俺とミリアムが入って来たことに目の前の少女はとても不満があるようだった。
「······おひさしぶりですね、マスター。ずいぶんと、としをとられたようで」その少女は昔とは違い、覚めた態度で接してきた。
「あぁ、久しぶりだな。本来なら俺が死ぬまでここに封印しておきたかったんだがな」
「でも、ついにこのひがやってきました。やっとマスターがいなくなるとおもうと、うれしくて、うれしくてたまりません」
「おう、俺も同じ気分だ。お前という疫病神とおさらばできるという事にたまらなく嬉しく思う。だが、俺の息子に怪我させるなよ」
「わかってますよ! めざわりなのではやくでていってください!」
「······わかったよ。お前らふたりにこの世界の命運がかかっていることを忘れないようにしろよ」と、俺は言い地下室から出ていった。
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