第7話 赤ん坊
後半が少し読みにくいかもしれません。
~シャルル邸・辺境伯執務室~
俺はミリアムが出ていくと、机の上の書類の束を纏め、机の引き出しへと片付けた。そして、俺はお茶などを用意してもらうためにメイド長を念話というスキル(固有能力)を使い、呼んだ。
メイド長を呼ぶとすぐにノックの音が執務室に響き、メイド長が一礼してから入ってきた。
「ご主人様、失礼します。それで緊急の要件とはなんでしょうか?」
「今からハイエルフの方々が参られるそうだから、この家で一番高いお茶とお茶菓子を用意してきてくれ」
「かしこまりました」と、メイド長は一言言い、俺に向かって一礼をしてから執務室を出て行った。
メイド長が部屋から出ていくと俺はそわそわし始めた。そして、俺の頭の中では何故ハイエルフが来たのかという理由を考えがグルグルと渦を巻いていた。
どれだけの時間考えていたのか分からないが、やがて扉をノックする音が聞こえ、ミリアムがハイエルフ達をを連れて入ってきた。
俺は会話の主導権を握る為にハイエルフが執務室に入り、席に座ったことを確認し、話を始めた。
「この度は遠いこの我が領地へ······「そういう前置きはいいので早速本題に入ってよろしいですか?」」と、俺が前置きを言い始めるとハイエルフの1人が俺の言葉に被せて本題に入ろうとしてきた。そこで会話の主導権はハイエルフへと移ってしまったことを俺は酷く痛感した。そして、そのハイエルフが本題に入らせろというかのように視線を送ってきたので、
「······ど、どうぞ」と、俺は言った。
「では早速ですが、今回貴殿の屋敷を訪ねたのはある1人の赤ん坊を息子として育ててほしいのです」
「······あ、赤ん坊ですか?」この時俺は何故赤ん坊を育てろ、という突飛な質問をされたことで声が裏返ってしまった。しかし、ハイエルフはそんなことはお構い無しに話を進めた。
「はい、この子です」と、言ってその話をしていたハイエルフの奴の右隣にいた奴が言うと、そいつの腕の中に突然赤ん坊が出現した。憶測でしか無いが、突然出現したのは五感妨害のスキルを掛けていたのだろう。
「······息子ということは俺の後継にしてくれと?」俺は子供を育てろという質問の意図が読めた気がしてハイエルフに質問をした。
「そういうことです」そして、ハイエルフは俺の質問に即答した。
「後継って辺境伯の方ですか? それとも······あっちの方ですか?」
「あっちというのがなんだか分かりませんが貴殿の全てにおいての後継です」と、言った。俺はこんな赤ん坊にあの禁忌の力を受け継いだら俺の二の舞になるんだろうなと思い、その子の未来のことを考えると大きなため息が出てきた。
「はぁ······」そのため息は執務室の中にゆっくりと溶けていった。
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