モンティパイソン
「わたしの処女を返せー」
女の子はいささか勘違いな言動をする。
第一、処女を奪うも何も変な落とし穴から訳もわからず落っこちて、落ちた先にいた女の子にダイレクトアタックをお見舞いしてしまっただけだ。断じていかがわしいことはしていない。
が、女はどういう訳だか聞く耳を持たない。
いや、耳はヘンテコなうさ耳をしてるが、こちとらの言葉が入らんようだ。参る。
「死んで詫びろー」
んな無茶な。死んだら詫びもへったくれもない。
というかここは逃げるに限る。
おっと、自己紹介がまだだったな。オレの名前はアサギアキト。アキトでいいぜ。
そこら辺のへーへーボンボンな高校生だったが、ウッカリ落とし穴なんぞに落ちたのが運の尽きだ。落ちて早々被害妄想女子に追い回されるなんて嬉しいやらしょーもないやら。
「だーかーらー、誤解だってんだろっ」
「言い訳は聞かないわよ。大人しく私にやられなさい」
「なんでそうなるの」
うさ耳女は走るのをやめた。こっちが止まったからだが。
「とくにかく、ここの世界じゃ男から体の一部に口づけされたら、結婚するしかないのよ。だから責任とって私と結婚しなさい」
「だが、断る」
「断っても無駄よ。そーゆー決まりなんだから。観念しなさい」
「ならば敢えて言おう。私は強情な女は嫌いだ。うさ耳は許せるがツンデレのツンしかない女なんぞ願い下げだ。じゃそゆことで」
ん、腕に重みが感じる。後を見ると怨念凄まじいうさ耳女の手がオレの腕を離さない。
「はなせ、カス」
「誰がカスよ。このロクデナシ」