勇者
第九話
勇者
護衛依頼を終了した翌朝龍牙達はギルドに向かっていた。
宿を出た龍牙達の前に広がっていたのは賑わいを見せる帝国の街だ。
町の人は同一の話題に花を咲かせているみたいだ、その内一組の会話が聞こえてきた。
「おい、知ってるか?昨日のアレ今日知らされるらしいぞ」
「そうみたいだな、どうなんだろうな?」
「さーな、だが成功しているだろうよ」
「賑やかですね、リュウガさん」
「あぁそうみたいだな、祭りでもあるのか?」
「そうなんでしょうか?」
「とりあえず、ギルドに着いたから報告ついでに聞いてみるか」
「そうどすね」
龍牙達はギルドに入り一番空いている受付に向った。
「ようこそハンターギルド帝国支部へ、本日はどのようなご用件で?」
「すまない昨日の着いた、宝石商エルザートの護衛依頼終了報告に来た」
「かしこまりました、確認いたしますので修了証を出していただいていいですか?」
「あぁこれか?」
「はい、そうです。申し訳ありませんが確認にしばらくかかりますのでそちらにかけてお待ちください」
「あぁ分かった」
「どうします?リュウガさん」
「とりあえずはこの賑わいの元を聞きに行くか」
「どちらに?」
そう言い龍牙は買い取り窓口に向かった。
「いらっしゃいませ、本日はどの素材の買い取りですか」
「すまないこの魔石の買い取りをお願いしたい」
「かしこまりました、こちらの魔石は魔玉と言えるほどのものですね。藍色の魔玉は少し色が濁っているので金貨十枚、こちらの紅の魔玉は鮮やかでいて限りなく透き通っているので金貨五十枚の計金貨六枚でよろしいですか?」
「あぁだができれば金貨一枚を分けてほしい」
「かしこまりました、少々お待ちください」
「それとすまないが帝国は普段からこんなに活気っいているのか?」
「市などがあって普段から賑わっていますがこれほどではないですね、今日は先日行った勇者召喚の儀の結果を知らせるとのことで普段以上に賑わっています」
「そうか」
「お待たせしましたこちらが買取額の金貨五十九枚銀貨九枚銅貨九枚鉄貨十枚ですご確認ください」
「あぁ問題無い」
「またのご利用お待ちしています」
「勇者召喚だったみたいですね」
「そうだな」
「依頼の確認終わったみたいですね」
「そうみたいだな、行くか」
「ハイ」
「大変長らくお待たせしました、宝石商エルザートさんの護衛依頼達成を確認出来ましたので成功報酬の金貨六十枚、そしてエルザートさんからの追加報酬の金貨十枚の計金貨六十枚です、ご確認ください」
「あぁ問題無い」
「依頼をお受けになりますか?」
「いいや良い」
「かしこまりました、またのご利用お待ちしています」
龍牙達がギルドを後にしようとすると、ドアがいきよい良く開け放たれ、鎧を着た若い男が入ってきた。
「ここにリュウガと名乗るハンターは居るか!」
そう言い先ほどまで龍牙達の対応をしていた受付に詰め寄る。
「本日はどのようなご用件で?」
受付は先ほど龍牙にしたように対応をするが明らかにめんどくさい奴が来た、見たいな雰囲気を出している。
しかし流石は役員直ぐにその雰囲気を隠し応対する。
「リュウガと言うハンターは居るか!」
「誠に申し訳ありませんが、ハンターギルドに登録している方の個人情報はお話できません」
「僕が国王の命で動く近衛騎士と知ってもそう言えるか」
「誠に申し訳ありませんが先ほど申しましたように個人情報はお話できません」
「そうか、国王の命に背くか、ならば!今この場で僕がお前を反逆罪に処してやる」
そう言い男は腰に挿している剣を抜き、受付の首を撥ねようとする。
龍牙は影切りの鯉口を切り何時でも抜刀できるよう構え、注目しているといつの間にか男の後ろに一人の女性が居るのに気づいた。
女性の格好は男の鎧によく似たデザインだ。
「何をしている馬鹿者」
女性の拳が男の頭に落ちる、たた一発の拳で男は気絶していた。
男が弱いのかこの女性が強いのか、どちらにせよあなどれない。
「すまない、この馬鹿が騒がしてしまった、それとリュウガと言うハンターが今帝国に居るかどうかだけ教えてほしい」
「現在リュウガさんは帝国に居ます」
「有難う」
「またのご利用お待ちしています」
女性は男を引きずり真っ直ぐ迷わずに龍牙の前に来る。
「すまないがあなたがリュウガさんですよね」
「そうだが、それがどうした?」
「私達と来てくれないか?」
「断る」
「勇者様が言っていたとおり、断られましたか、ですが断られたらこう伝えろと、勇者様に言われています」
「ん?何を?」
「神滅流、刀術、拳術、気功術それから次に僕が必ず勝つとの事です」
「あいつ等かよ勇者って嫌な予感してたんだよで俺に何させたいんだ」
「それはただ単純に勇者様方の戦闘訓練の指導に付いていただきたいのですが?」
「断ると言いたいがあいつ等がいるなら仕方ない行ってやる」