冬の学級会~始まり~
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二月のある日、外は雪が浮いたまま止まっている。ドアも窓も開かない。遅い時間には外は真っ暗だが、気にする必要もない。先ほどから時計の針は一ミリ足りとも動いていない。つまり、閉じ込められた。と言うよりも、隔離された感じだ。二年B組の生徒二十七人は、今、隔離されている。しかし、危機感を持つ者は少ない。当たり前だ。中学生なのだから。寝る者も関係の無い話をする者もいる。それを委員長の言葉が消し飛ばす。
「学級会の時間です。関係の無い話は止めてください。」
どうやら委員長は学級会の答えをだす事が解放につながると思っているようだ。議題は、いじめについて。
なぜこんな話かというと、委員長の下駄箱に一枚の紙が入っていたらしい。その紙には、こう書いてあった。
「お前のクラスでいじめが行われている。」
と、機械的な字で書いてあったらしい。おそらく、定規で書いたのだろう。それを放っておく事も出来ず、学級会を開いたと言うわけだ。委員長の言葉は続く。
「いじめを見た事があるものは出てきなさい。」
出てくるわけがない。そんなんで出てきたら、僕らは隔離されていない。クラス内の雰囲気が険悪になってきた。生徒同士が疑いあう。もう学級会は学級会としての意味を持っていない。誰もが挙手する事なく好き勝手に発言している。委員長の顔が青ざめているのが見える。その瞬間、僕は全てを理解した。
やっと帰路に着く事が出来た。雪は、降っていなかった。それまでに色々あったが、その話はまた別の機会に。
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