表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/13

第一部   出会い

この物語はフィクションです。

人物名、団体名等は存在しません。


夢をみていました。

いつかあなたが振り向いてくれると………







一話 初恋





理奈(リナ)!一体いつまで寝てるつもり?!…ったく、同窓会、行くんでしょ?」


部屋の外、階段の下から聞こえる友人の声。

寝ぼけたままの私の耳に、『同窓会』という3文字が飛び込んでくる。

それと同時に思い出すのは、あの記憶……。

高校卒業から今まで、誰にも言わなかった私の記憶を。


「理奈?!まだ寝てるの?!」


「はぁい…今起きましたぁ……」


私の意志と裏腹に蘇ろうとする記憶と…想いを、

思い切り頭を振って無理やりに消した。





数日前に私の家に届いた一枚のハガキ。

それは、『第63期生 3年2組 同窓会』と大きな見出しで書かれたものだった。

私には最初から行く気などなかった。



「…ねぇ、綾香(アヤカ)…どうしても行かなきゃだめ……?」


布団を抜け出て、服を選びながら、玄関で待機している綾香に言う。


「当然。……あんた、まだ引きずってんの?ささっと忘れなさいよ」


綾香の呆れた声が返ってくる。

私は仕方なく、少し拗ねたふりをしながら階段を降りて玄関に向かった。

そして、玄関で仁王立ちして待っていた綾香に、半ば無理やり連れて行かれた。








同窓会の会場は、当時私たちが通っていた高校だった。

その高校に行くには、何本か電車を乗り継がなければならなくて、

私たちはとりあえず駅に向かった。


駅までの道中、私と綾香は無言で歩いていた。


私は……また戻ってきそうなあの記憶を必死で押さえ込んでいた。

気まずい空気の中で私は息が出来ず駅に着いた時、やっと、少しだけ息がつけた。


タイミングよく電車がホームに来ると、アナウンスが言った。

私は綾香に連れられて、ホームに着いた電車に乗り込む。

休日だったためか電車に乗っている人は少なく、

私たちは迷わず入ってすぐ前の空席に座った。

電車に揺られながら私は、抑え切れなかったあの記憶を、少しづつ思い出していた。

それはまるでビデオテープに録画された映像のように、鮮明で綺麗だった。

思い出したくない思い出が、私の頭の中で再生された。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ