素敵な眼鏡…?
私は眼鏡を買った。
帰り道嬉しくて、眼鏡をかけて歩いてみた。
雲ってあんなにもフワフワなんだ。
木々の葉っぱも太陽に照らされながら、1つ1つが綺麗に輝
いている。
川の水は透き通っていて、小魚が優雅に泳いでいる。
道端に咲いている花は、赤やオレンジで、とても綺麗だった
私は今まで、こんなにも素敵な世界を見ることもなく生きて
きたのかと思うと本当に勿体ないと思う。
自分の家に到着するまで、私は感動するばかりだった。
「ただいま~!」
「おぅ、お帰り~。」
愛する夫の声がする。
早く眼鏡をかけた姿を見て欲しくて、私は急いでリビングに
向かう。
夫は、ソファーに腰をかけて、テレビを見ているところだっ
た。
テレビに写っているタレントも良く見える。
「見て見て!眼鏡にしてみたんだけど、どうかなっ?」
私は上機嫌で尋ねた。
夫が振り返って私を見る。
その瞬間、私は固まった。
「お、似合ってるじゃん!」
「え、あ、ありがとうっ…。」
私は、笑顔をひきつらせながら廊下に向かう。
私の夫の顔って…あんな感じだったっけ…?
もっとかっこ良かったと思ってたけど…?
もしかして、目が悪かったから気づかなかったの…?
私はフラフラしながら洗面台に手をついた。
そこで、私はまた固まる。
「…私ってこんなに老けてた──?」