再び始まる恋物語
4年ぶりに地元に戻って来た。
なぜ戻ってきたのかというと、仕事のためである。
この27才独身彼女ナシの高沢順哉は懐かしい故郷の匂いを味わいながら実家を目指した。
(てゆーか前より建物減ってないか)歩きながらふと感じる。やはり不況の影響を受けているのだろう。
歩いていると、一人、髪の長い女性がこちらにだろうか手を振っている。
(誰だ?)と思った瞬間、その女性は駆け寄って来るなり、
「おかえりー!順くんー!」と抱きついてきた。
「うわわっ、まさかお前っ…」
「あれぇ?よもや忘れたとか言わないよねぇ?」
「忘れねぇよ!中崎佐紀!」
そう、彼女は小中高12年間一緒の学校に通っていた中崎佐紀である。
「いやー見違えるほどマトモになったなー」ちょっと小馬鹿にしてみる。
「何よー!元々マ・ト・モな人間ですけどー!」佐紀が膨れる。
「冗談だよ、冗談。」笑いを堪えながら歩き続ける。
「とりあえず今日は実家に帰るからまた明日な」
「はいよー。」テキトーな返事が返ってきた。
「あ、順哉、あたしとの約束忘れてないでしょーね?」
「え、なんだっけ?」頭の中が混乱する。
「もぅ。明日までに思い出してよね。じゃーねっ!」そう言い残して帰っていく。
(ヤベェ。全く覚えてない…)
久々の「宿題」について頭を悩ませながら家へと向かった。