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生活

僕を守る為に?......... 僕は呟いた。

「.........僕を守る為に縛って

花音・・に何の得があるの?」

「やっと昔みたいに名前で呼んでくれた。

嬉しい。得?ちゃんとあるわよ。

謙也くんといられる。それが、

私の一番の幸せ。

でもさ、監禁なんかする私って卑怯だよね。

ごめんねあなたの事

無理やり縛って。

だから、嫌だったら逃げていんだよ」

花音は僕の膝の上に座ってしばらく黙っていた。

「だけどさーー優しい君だったら、

私の願い事くらい聞いてくれるよねー!

だって、踏み切りの時命懸けで助けたんだから」

急に荒くなった。

「お......お願い?」

僕はこの時、花音が『怖い』と感じた。

「謙也くんを私だけのものにしたい!」

僕は、女の子にすら逆らえなかった。

「......分かったよ。監禁したからって

花音の事嫌いになったわけじゃないから」

「嫌いじゃない......かー」

「それじゃー好きなんだね、私の事」

心臓が止まったかと思った。

「そうだよ。花音の事大好きだよ!」

僕は、言葉を振り絞った。

ぎゅっ!

花音は僕を抱きしめた。

温かい。これが......人間の温もりか。

「なでなで、私がどんな事をしても謙也君を幸せにしてあげるからね」


たった数分の出来事だったが、

僕は、この時間を今まで自分が無意味に生きてきた時間よりはるかに長く、濃く感じた。


「そろそろお風呂入らないとね。沸かしてくるね」

そう言うと花音は自分の縄を素早く一瞬のうちに解き椅子の足に縛った。

「ちょっと待っててね」

花音は、何回も縄を縛ったり解いたりするのを練習していたのか。いつでも僕を縄で縛れるように。

それにしても、今日は疲れた。

僕は椅子の上で寝てしまった。



「謙也君、起きて!」

「う、うん」

「縄全部解いたから、入ろう!」

僕は頭が半分寝ぼけていた。

僕は花音に

手を掴まれ半ば強引に風呂まで行った。

「さ、脱いで!」

「はい」

僕はまだ寝ぼけていた。

僕はとんでもない事をしていたのを気がつかなかった。

僕は自分の全裸を花音に見られていた。


僕は風呂に入ってドアを閉めようとした。

「謙也くーん、ひどいよー!

私もはいるー!」

花音の幼稚な言葉で僕は完全に目が覚めた。

花音はいつの間にか水着姿と化していた。


僕はたまに自分でも驚くような事を

平然としている時がある。つまり、

僕はおっちょこちょいな面がある。

これも僕がいじめられていた原因の一つ

だが、今自分のおっちょこちょいな部分を

本気で悔やんだ。

「まさか、そんな、僕と一緒に入る…のですか?」

片言だった。

「そうだよ。でも、学校の時、話しただけで

あんなに緊張してた人に私の全裸なんか見せたら、気絶するくらいじゃ済まないよね」

僕は何も言い返せなかった。

「ま、どうしてもって言うんだったらいいけど」

花音の頬が赤らんだ。

多分僕がやって欲しいって言ったら必ずやるだろう。

「さてと。背中洗おうか?」

そう言うと、僕が何も言っていないのに

椅子に座らせ、背中にお湯をかけた。

「ゴシゴシ......綺麗になった!」

花音は僕の背中を隅々まで石鹸で洗い、

お湯をかけた。

すると花音を背中から包み込むようにして

抱いた。

「前も洗ってあげようか?」

彼女は耳元でささやいた。

さすがにそれはヤバイと思った。

「自分で洗う」

「偉いね〜謙也君」

花音はそう言うと石鹸を渡した。

僕は身体を洗い風呂に入った。

隣では花音は身体を洗っている。


「いーれーて!」

花音は身体を洗い終えると躊躇なく入ってきた。

「あったかいね〜〜」

「そ、そうだね」

僕はなるべく花音を見ないようにしていた。

「もう!」

花音は不機嫌そうに言ったので、

僕は花音の方を見てしまった。

花音は僕の顔を両手で掴み

「せっかく水着姿なのにあなたが見てくれないんじゃ意味ないじゃない」

と不満げに言った。

「ごめん」

「じゃあ罰として私の胸触って」

「そんな事したら......」

「いいから触って!

私が言ってるんだから触ってもいいの」

僕の言葉はかき消された。


僕は恐る恐る右手を伸ばした。

手がすごく震えて、目で見てもちゃんと分かる。

ガシ!僕の右手は花音の左手に掴まれた。

「私が手伝ってあげる」............



僕と花音は風呂を出た。

「楽しかった〜〜。謙也君、幸せ?」

随分と急な質問で驚いた。

「幸せだよ」

その言葉は本心から出た。

「やっと笑ってくれた」






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